2013年3月25日、関節リウマチ治療薬トファシチニブクエン酸塩(商品名:ゼルヤンツ錠5mg)が製造承認を取得した。適応は「既存治療で効果不十分な関節リウマチ」で、用法・用量は「1回5mg、1日2回経口投与」となっている。

 関節リウマチRA)は慢性の炎症性自己免疫疾患で、日本では約70〜80万人、世界には約2000万人以上の患者がいると推測されている。RAは手と足にその症状が現れるのが典型的であるが、滑膜のあるどの関節でも発症する可能性がある。

 RAの薬物治療としては、従来から非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やステロイドなどによる対症療法が行われてきたが、近年、初期段階からメトトレキサート(MTX)をはじめとする疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)が使用されるようになり、さらにこれらの治療で不十分な患者には、抗ヒト腫瘍壊死因子薬(TNFα阻害薬)、サイトカイン阻害薬(IL-6受容体阻害薬など)などの生物学的製剤が使用されてきた。これら薬剤の登場で、RA治療は飛躍的に進歩したものの、未だに薬物治療の効果が十分に得られない患者も存在しており、さらに新しいRA治療薬が熱望されていた。

 今回、承認されたトファシチニブは、細胞内に存在するチロシンキナーゼの一種「ヤヌスキナーゼ」(JAK)を阻害することで炎症を抑制する新機序のRA治療薬で、ヤヌスキナーゼ阻害薬(JAK阻害薬)と呼ばれている。細胞内に存在するJAKは、RAにおける炎症性サイトカインなどの産生に深く関与しており、トファシチニブはこのJAKが関与する細胞内のシグナル伝達経路(JAK Pathway)を阻害し、抗炎症作用を発揮する。これまでのサイトカインをターゲットとした生物学的製剤がいずれも注射製剤であるのに対し、本薬は、経口の分子標的薬である点も特徴である。

 国内外で行われた第3相試験(投与3カ月まで)では、31.5%に副作用が認められている。主な副作用は、頭痛2.5%、上気道感染2.1%、下痢1.8%、悪心1.5%などで、重大な副作用としては、感染症、消化管穿孔、好中球減少、リンパ球減少、ヘモグロビン減少、肝機能障害・黄疸、間質性肺炎に注意する必要がある。

 また今回の承認に際して、感染症などの発現を含めた長期投与の有効性・安全性を検討することから、一定期間、全例調査を行うことになっていることにも留意しなければならない。