2013年3月25日、機能性ディスぺプシア治療薬アコチアミド塩酸塩水和物(商品名:アコファイド錠100mg)が製造承認を取得した。適応は「機能性ディスペプシアにおける食後膨満感、上腹部膨満感、早期満腹感」、用法・用量は「成人、1回100mgを1日3回食前投与」となっている。

 機能性ディスペプシアFD)は、機能性消化管障害の国際的診断基準であるRome基準により定義されている。2006年に改定されたRomeIII基準では、「6カ月以上前から症状があり、最近3カ月間はつらいと感じる食後のもたれ感、早期飽満感、心窩部痛及び心窩部灼熱感のうち、1つ以上の症状があり、かつその原因となりそうな器質的疾患が確認されていない場合」とされている。

 FDは致死的疾患ではないものの、患者のQOLに対して大きな影響を及ぼし、また症状が一度改善しても再発を繰り返すことが多いため、病悩期間が長期に及ぶことが問題となっている。さらに病因がいまだ十分に解明されておらず、その治療法も確立していない。これまでは、患者の症状に応じて、H2受容体遮断薬、プロトンポンプ阻害薬、消化管運動改善薬を単独もしくは併用する対症療法が中心だった。

 今回承認されたアコチアミドは、世界で初めてFDの適応を取得した消化管運動機能改善薬である。アセチルコリンエステラーゼ(AChE)を阻害することで、コリン作動性神経終末から遊離させるアセチルコリン(ACh)の分解を抑制し、胃前庭部及び胃体部におけるAChによる収縮や運動を増強させる。その結果、FD患者における胃前庭部の運動亢進作用や、胃運動低下改善作用が期待できる。

 国内の第3相比較臨床試験(対象患者:RomeIII基準に適合したFD患者、投与期間:1回100mg1日3回、28日間)では、プラセボとの比較で「患者の印象の改善率」及び「食後の膨満感、上腹部膨満感、早期満腹感の3症状すべての消失率」において優越性が確認された。有害事象発現率と副作用発現率については、プラセボとの間に統計学的な有意差が認められていない。

 承認時までの国内臨床試験では、副作用(臨床検査値異常を含む)が16.3%に認められている。主な副作用は、血中プロラクチン増加(3.6%)、下痢(2.1%)、ALT増加(1.8%)、便秘(1.6%)、γ-GTP増加(1.2%)などであった。

 なお、本薬の投与に際しては、上部消化管内視鏡検査などで悪性疾患(胃癌など)を除外することが必要である。またFDにおける心窩部痛や心窩部灼熱感には、有効性が確認されていないことにも留意しておかなければならない。