2012年11月22日、癌疼痛治療薬のメサドン塩酸塩(商品名メサペイン錠5mg、同錠10mg)が薬価収載され、近く発売される見込みである。本薬は、9月28日に製造承認を取得している。適応は、「他の強オピオイド鎮痛剤で治療困難な中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛」であり、用法・用量は「他の強オピオイド鎮痛剤から切り替えて使用し、成人には初回投与量として使用していた強オピオイド鎮痛剤の用法・用量を勘案して、1回5〜15mgを1日3回経口投与」となっている。

 中等度から高度の疼痛を伴う各種癌に使用する鎮痛薬としては、WHO(世界保健機関)による癌性疼痛治療の三段階ラダーに基づき、強オピオイドのモルヒネ、オキシコドン、フェンタニルが使用される。しかし、これら強オピオイドでも鎮痛が得られない患者、またはオピオイド耐性が発現した患者などに対しては、日本では有効な薬剤が無い状態であった。対して欧米では、これらの患者に対してはメサドンが広く使用されており、こうしたことから、臨床現場や関連学会(日本緩和医療学会)からは、日本へのメサドンの早期導入が熱望されていた。

 メサドンは、厚生労働省の未承認薬使用問題検討会議(2007年9月)において「早期に国内開発すべき薬剤」として結論づけられ、製薬会社による開発が開始された。なお、この開発に当たっては、メサドン製剤のうち、吸収が速やかで、高い生物学的利用率を有し、長い生物学的半減期を持つ「経口製剤」(錠剤)について、既存のオピオイドの治療で十分な疼痛管理ができない癌患者を対象に、臨床試験が実施された。

 メサドンは、モルヒネと同様にμオピオイド受容体を介して鎮痛作用を示すが、モルヒネなど他のμオピオイド受容体作動薬との交差耐性が不完全という特徴を有している。このため、他のオピオイド鎮痛薬で鎮痛が得られない症例、耐性発現している症例などでも有効であることが期待されている。

 メサドンの使用に当たっては、オピオイド鎮痛剤使用患者を対象とした切り替え試験において、何らかの副作用(臨床検査値の異常変動を含む)が76.2%に認められていることに十分な注意が必要である。主な副作用は、傾眠(52.4%)、悪心(23.8%)、嘔吐(19.0%)、QT延長・せん妄・便秘(各9.5%)であり、重大な副作用は、他のオピオイド鎮痛薬と同様、依存性、呼吸停止、呼吸抑制などが認められている。

 また、本製剤の処方・使用に当たっては、厚生労働省より「医師は製造販売業者の提供する講習を受講するとともに、薬剤師は、処方医が講習を終了した医師であることを確認した上で調剤すること」(平成24年9月28日 薬審査発0928第11号)とされているので、十分留意しておかなければならない。