2012年9月28日、オランザピンの筋注用製剤(商品名ジプレキサ筋注用10mg)が製造承認を取得した。適応は「統合失調症における精神運動興奮」で、1回10mgを筋肉内投与する。効果不十分な場合には、2時間以上あけて1回10mgまでを追加投与できるが、投与は1日2回までとなっている。オランザピン製剤は、既に経口錠(2001年6月)、細粒(2004年5月)、口腔内崩壊錠(ザイディス錠:2005年7月)が臨床使用されている。

 オランザピンは、非定型抗精神病薬に分類されるチエノベンゾジアゼピン系薬剤である。セロトニン・ドパミン受容体親和性比が高いことに加え、他の複数の受容体(コリン、ヒスタミン、アドレナリンなど)に対しても比較的高い親和性を有していることから、MARTA(多元受容体作用抗精神病薬)というカテゴリーに分類される薬剤である。

 複数の神経伝達物質受容体に対して作用するオランザピンは、統合失調症の陽性症状(幻覚、妄想など)や陰性症状(感情的引きこもり、情動鈍麻など)のみならず、認知障害や不安症状、うつ症状などにも高い効果を発揮することから、臨床現場では高く評価されている。

 統合失調症の急性期には、危険な行動につながるような過度の興奮、焦躁、激越などの精神症状が発現する。この急性期の治療に関して、『統合失調症治療ガイドライン』では、錐体外路障害が少ない速効性の非定型抗精神病薬を第一選択薬としているが、非定型抗精神病薬には速効性の製剤がなかったため、わが国では定型抗精神病薬の注射製剤が使用されてきた。

 今回、承認されたオランザピンの筋注製剤は、非定型抗精神病薬としてはわが国で初めての速効型注射製剤である。臨床試験では、本剤による症状改善効果が、投与後15分と比較的早期に認められることが確認されている。海外では、2012年8月現在、世界83カ国で承認されている。

 承認時までの国内臨床試験では、何らかの副作用が16.8%に認められている。主な副作用は、傾眠(8.4%)、口渇(2.5%)などであった。また、既存のオランザピン製剤にも認められている血糖値異常(高血糖、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡、低血糖など)に十分に留意し、投与中は患者の状態を観察し、定期的な血糖値モニタリングを行うことなどが必要である。