2012年9月28日、経口糖尿病治療薬のアナグリプチン(商品名スイニー錠100mg)が製造承認を取得した。適応は「2型糖尿病で、次のいずれかの治療で十分な効果が得られない場合に限る。(1)食事療法、運動療法のみ、(2)食事療法、運動療法に加えてスルホニルウレア系薬剤を使用、(3)食事療法、運動療法に加えてチアゾリジン系薬剤を使用、(4)食事療法、運動療法に加えてビグアナイド系薬剤を使用、(5)食事療法、運動療法に加えてαグルコシダーゼ阻害薬を使用」、用法・用量は「1回100mgを1日2回朝・夕に経口投与、効果不十分な場合には経過を十分観察しながら1回200mgまで増量可」となっている。

 アナグリプチンは、インクレチン分解酵素であるジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)の選択的阻害薬である。膵β細胞に作用してインスリン分泌を促進する作用のあるインクレチンを活性化することで、血糖値をコントロールする。

 DPP-4阻害薬は、これまでにシタグリプチン(商品名ジャヌビア、グラクティブ)、ビルダグリプチン(商品名エクア)、アログリプチン(商品名ネシーナ)、リナグリプチン(商品名トラゼンタ)、テネリグリプチン(商品名テネリア)が発売されており、アナグリプチンはわが国で6番目に発売されるDPP-4阻害薬となる。

 アナグリプチンは、(1)1日2回投与でDPP-4の活性を24時間阻害し、毎食後の活性型グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)濃度を増加させる、(2)DPP-4阻害の選択性が高い、(3)αグルコシダーゼ阻害薬との併用効果が確認されている──などが特徴とされる。

 なおDPP-4阻害薬は、下表のように、併用できる糖尿病治療薬が異なっている。適応拡大で徐々に併用できる薬剤も増えているので、併用薬可能薬剤については添付文書を随時、確認する必要がある。

表 DPP-4阻害薬と併用できる糖尿病治療薬(2012年10月現在) ※クリックで拡大します。

 アナグリプチンは、国内臨床試験では19.9%に副作用(臨床検査値異常を含む)が報告されている。主な副作用は、便秘(2.6%)、低血糖症(2.0%)、便潜血陽性(1.9%)などである。重大な副作用としては、低血糖症が報告されているほか、他のDPP-4阻害薬では腸閉塞の報告もあるので注意が必要である。また、他のDPP-4阻害薬では、SU薬との併用で重篤な低血糖症状があらわれ、意識消失を来す症例も報告されているので十分に注意したい。