2012年8月31日、副腎皮質ホルモン剤のメチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム(商品名ソル・メドロール静注用40mg、同125mg、同500mg、同1000mg)に、「多発性硬化症の急性増悪」の適応が認められることが決まった。この適応における用法・用量は「1日500〜1000mgを緩徐に静注または点滴静注」となる。

 本件は、同日に開催された薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会の事前評価において、「公知申請を行っても差し支えない」と結論されたため、正式な承認に先立って保険適用することが可能となっている(関連記事)。

 多発性硬化症(MS)は、感覚障害、視神経炎、運動麻痺などが認められる中枢神経系の脱髄疾患で、症状は再発と寛解を繰り返す。四肢の不自由により、車椅子での日常生活を余儀なくされることが多く、厚生労働省特定疾患に指定されている難病である。日本での有病率は年々増加しており、10万人あたり8〜9人、人口あたり約1万2000人程度(2006年)と推定されている。

 MSの治療には、長期的予防進行抑制薬としてアザチオプリン(商品名イムラン、アザニン他)、シクロホスファミド(商品名エンドキサン他)、インターフェロンβ製剤(商品名アボネックス、ベタフェロン)などが使用されているが、さらに2011年11月からは、フィンゴリモド(商品名ジレニア、イムセラ)が臨床使用されている。一方、急性増悪期においては、欧米では標準的療としてメチルプレドニゾロンの大量点滴パルス療法が行われており、高い有効性が認められているが、日本ではメチルプレドニゾロンに多発性硬化症の適応がなかった。

 この多発性硬化症へのメチルプレドニゾロン大量投与は、国内外のガイドライン及び教科書においても推奨度が高い治療法として記載されていることから、日本神経学会が「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」に公知申請を要望し、今回の適応追加が実現したものである。

 なお、日本神経学会がまとめた、多発性硬化症患者における用法・用量の使用実態調査(2010年1月〜12月の1年間)では、登録患者362症例のうち、245例(71.0%)がステロイドパルス療法の治療歴を持ち、投与量は1000mg投与が圧倒的に多かったと報告されている。また、多発性硬化症の急性増悪時に高用量投与した場合も、ソル・メドロールの既存の副作用(不眠、多幸症、不安、精神病、味覚障害など)以外に、安全性に関する新たな重大な問題は認められていない。