2012年8月10日、抗菌薬のスルバクタムナトリウム・アンピシリンナトリウム(SBT・ABPC、商品名:ユナシン-S静注用0.75g、同-S静注用1.5g、同-Sキット静注用1.5g、同-Sキット静注用3g)で、適応菌種と用法・用量の追加が承認された。具体的には、適応菌種に「肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス」が追加され、用法・用量では、重症感染症の場合に1回3g、1日4回(1日12g)までの増量が可能となった。

 ユナシン-Sは、SBTとABPCを1:2の比率で配合したβラクタマーゼ阻害剤配合の抗菌薬である。SBTは、各種細菌が産生するβラクタマーゼ、特にペニシリナーゼを強く不可逆的に阻害する阻害剤である。またABPCは、グラム陽性菌と一部のグラム陰性菌(大腸菌、プロテウス・ミラビリス、インフルエンザ菌など)に抗菌活性を有するペニシリン系抗菌薬である。臨床現場においてユナシン-Sは、従来から肺炎、肺膿瘍、膀胱炎、腹膜炎に対して、1日6g(1回3g、1日2回)の用法・用量で使用されていた。

 今回、ユナシン-Sの高用量での使用が承認に至った背景には、1)海外では、肺炎、肺膿瘍、腹膜炎に対し、重症度に応じて1日12g(1回3g、1日4回)までの使用が認められていること、2)国内外の成書やガイドラインで、市中肺炎及び院内肺炎に対する高用量投与が推奨されていること、3)ペニシリン系抗菌薬の臨床効果はTime above MIC(%)に依存するため、1日投与回数を増やすことで効果の増大が期待できること──などがある。そうした状況で、関連学会や医療現場から高用量での使用に対する要望が高まったことから、製薬会社による臨床試験が行われ、今回の承認に至っている。

 また、この国内第3相臨床試験で、高用量使用時における肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリスに対する有効性も確認されたことから、適応菌種の追加も併せて申請され、承認されている。

 ただし、承認までに行われた一般臨床試験(1日12g投与)では、なんらかの副作用(臨床検査値異常を含む)が21.3%認められているので、十分な注意が必要である。主な副作用は、ALT・AST上昇(各10.6%)、ALP上昇(8.5%)、γーGTP上昇(6.4%)、下痢(4.3%)などであり、重大な副作用としては、ショック、アナフィラキシー様症状、中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、血液障害、急性腎不全、間質性腎炎、偽膜性大腸炎、肝機能障害、間質性肺炎、好酸球性肺炎に注意しなければならない。

 なお、今回承認された高用量(1日12g)での使用は、肺炎、肺膿瘍、腹膜炎のみで認められており、膀胱炎に使用する際には認められていない。また現時点では、適応菌種の追加を含め、後発医薬品では承認されていないので注意が必要である。