2012年8月31日、β遮断薬プロプラノロール塩酸塩(商品名インデラル錠10mg、同錠20mg)に、「片頭痛発作の発症抑制」の適応が追加されることが決まった。この適応における用法・用量は、「1日20mg〜30mgより投与し、効果不十分な場合には1日60mgまで増量可。いずれも1日2〜3回に分割投与」となる。

 本件は、同日に開催された薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会の事前評価において、「公知申請を行っても差し支えない」と結論されたため、正式な承認に先立って保険適用することが可能となった(関連記事)。

 片頭痛の急性期治療においては、スマトリプタン(商品名イミグラン)をはじめとするトリプタン系薬や、麦角アルカロイドであるエルゴタミン製剤が主に使用されている。また発作の頻度が高く、急性期治療だけでは十分に発作をコントロールできない場合などには、発作予防薬として、カルシウム拮抗薬のロメリジン塩酸塩(商品名ミグシス、テラナス)や、バルプロ酸ナトリウム(商品名デパケン、バレリン、ハイセレニンほか)が使用される。

 プロプラノロールは、高血圧、狭心症、不整脈の治療に使用されている代表的なβ遮断薬である。交感神経のアドレナリンβ受容体においてカテコールアミンと競合的に拮抗し、β受容体遮断作用を示すことによって、抗狭心作用、抗不整脈作用を発揮する。また、薬理学的には、非選択性のβ遮断薬であり、膜安定化作用(MSA)が認められ、内因性交感神経刺激作用(ISA)を有していないことが特徴である。

 今回、β遮断薬のプロプラノロールに関して、「片頭痛発作の発症抑制」の適応で公知申請することが認められたのは、(1)「慢性頭痛の診療ガイドライン」(日本頭痛学会、2006年)において、プロプラノロールの片頭痛予防効果がロメリジンやバルプロ酸ナトリウムよりも高く評価されていること、(2)欧米の幾つかのガイドラインにも使用が推奨される片頭痛予防薬として掲載されており、欧米では広く臨床使用されていること──などが関与している。

 海外では片頭痛予防の標準薬であるプロプラノロールが、日本でも「片頭痛発作の発症抑制」の適応を取得したことは、片頭痛患者にとって朗報といえるだろう。ただし薬剤使用に際しては、除脈など、β遮断薬における既知の副作用の発現に十分注意しなければならない。