2012年6月29日、慢性閉塞性肺疾患治療薬のホルモテロールフマル酸塩水和物吸入剤(商品名オーキシス9μgタービュヘイラー28吸入、同60吸入)が製造承認を取得した。適応は「慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩和」で、用法・用量は「1回1吸入(9μg)を1日2回吸入投与」となっている。なお、ホルモテロールを含有する吸入剤としては、ホルモテロールと吸入ステロイドのブデゾニドを配合した製剤(商品名シムビコート)が、今回認められたのと同じデバイス(タービュヘイラー)で既に臨床使用されている。

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、喫煙習慣が主な原因となる肺の生活習慣病である。疾患は進行性で、息切れなどによって日常生活に支障をきたすようになり、酸素吸入が必要になることも珍しくない。2005年には世界中で2億1000万人が罹患しており、日本においても500万人以上が罹患されていると推定されている。

 COPDの治療ガイドラインは国内外で作成されており、日本でも2009年に『COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第3版』(日本呼吸器学会)が公表されている。COPDの薬物治療では、気管支拡張薬(特に吸入製剤)が中心となるが、中でもチオトロピウム(商品名スピリーバ)などの長時間作用性抗コリン薬と、長時間作用型β2刺激薬が、軽症から重症を含めた安定期COPDの第一選択薬として推奨されている。そして、長時間作用型β2刺激薬であるホルモテロールは、1986年から経口剤(錠剤とドライシロップ製剤、商品名アトック)が臨床使用されている(適応は喘息や気管支炎など)。

 今回、承認されたホルモテロールの吸入製剤は、吸入から5分後に肺機能検査値(一秒量:FEV1)が改善するなど、短時間作用型β2刺激薬と同程度に作用発現が速やかである点が特徴である。さらに、少なくともその作用は12時間は持続することが認められている。COPD治療薬としては、海外では2002年に欧州連合(EU)で承認されて以降、2011年5月までに世界約70カ国で承認されている。

 承認時までの国内臨床試験及び国際共同臨床試験(日本人患者を含む)では、3.3%の副作用が認められている。重大な副作用として、重篤な血清カリウム値の低下も報告されているので、十分に注意する必要がある。