2012年6月8日、抗ウイルス化学療法薬のリルピビリン塩酸塩(RPV:商品名エジュラント錠25mg)が発売された。本薬は、既に5月18日に製造承認を取得し、5月29日には薬価収載されている。適応は「ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)感染症」、用法・用量は「必ず他の抗HIV薬と併用し、成人1日1回25mgを食事中又は食直後に投与」となっている。

 抗HIV薬には、ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬NNRTI)、HIVプロテアーゼ阻害薬、HIVインテグラーゼ阻害薬、CCR5受容体拮抗薬など、たくさんの薬剤が開発されている。そしてHIV感染症治療においては、単剤ではなく併用療法の方が有効であることが、数多くの臨床研究結果から示されており、国内外のガイドラインではHAART(highly active anti-retroviral therapy)と呼ばれる多剤併用療法が主流となっている。

 今回、発売されたリルピビリンは、ジアリルピリミジン骨格を有し、NNRTIに属する抗HIV薬である。HIV-1逆転写酵素を競合的に阻害し、ヒトDNAポリメラーゼα、β及びγを阻害しない。リルピビリンは、HIV-1の野生株及び既存のNNRTIに耐性を示す臨床分離株に対しても抗ウイルス活性を示す特徴をもっている。アジア人を含む海外でのエファビレンツ(EFV:商品名ストックリン)との第3相二重盲検比較試験では非劣性が確認され、第2b相比較試験では198週間の有効性と安全性が確認されている。海外では、2011年5月の米国での承認以降、2011年12月現在、欧州連合(EU)を含めて世界32カ国で承認されている。なお日本においては、2011年11月に希少疾病用医薬品の指定を受けている。

 海外での臨床試験(96週時)では、何らかの副作用(臨床検査値異常を含む)が55.7%認められている。主な副作用は、頭痛(15.5%)、悪心(14.6%)、不眠症(10.5%)、浮動性めまい(10.2%)、異常な夢(8.9%)などである。さらに本薬は、主に薬物代謝酵素チトクロームP450の3A4により代謝されるため、リファブチン(商品名ミコブティン)やリファンピシン(商品名リファジンほか)などのCYP3A4誘導作用のある薬剤とは併用禁忌である。また胃のpHを上昇させるプロトンポンプインヒビターとも併用禁忌となっている。