2012年3月30日、遺伝子組換えヒトDNA分解酵素薬ドルナーゼ アルファ(商品名プルモザイム吸入液2.5mg)が製造承認を取得した。適応は「嚢胞性線維症における肺機能の改善」であり、用法・用量は「1日1回2.5mgをネブライザーで吸入投与。患者の状態により1回2.5mg、1日2回まで」となっている。

 嚢胞性線維症は、欧米では出生児約2500人当たり1人程度に見られる頻度の高い遺伝性疾患であるが、日本では約187万人に1人と、極めてまれな疾患である。

 この疾患は、CFTR(塩素イオンチャネル)の遺伝子変異によって発症する。気道、腸管、膵管、胆管、汗管、輸精管のイオン・水輸送が障害され、管腔内の粘液/分泌液が過度に粘稠となることで、管腔が閉塞したり感染し易くなる。典型例では、新生児期にイレウスを起こし、その後、気道感染症を繰り返し、膵外分泌機能不全による消化不良を起こす。従来、この嚢胞性線維症の治療法は確立しておらず、呼吸器症状に対する去痰薬の投与や気管支拡張薬の投与、感染症発症時の吸入及び全身性抗菌薬の投与など、対症療法を行うしかなかった。

 ドルナーゼ アルファは、嚢胞性線維症患者での粘液/分泌液中に大量に含まれ、粘稠性を高くしている好中球由来のDNAを加水分解する薬剤である。吸入により喀痰の粘度を下げて排出を容易にすることで、肺機能を改善したり、結果として気道感染症の相対リスクを低下させる効果があることが報告されている。海外では、2011年6月現在、欧米を含む約70の国と地域で承認されており、これらの国や地域では嚢胞性線維症の標準治療薬として位置づけられている。

 今回の日本における本薬の承認は、対象疾患が極めて稀な疾患であるもの、2010年5月厚生労働省「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」からの開発依頼を受け、海外データ等を用いて2011年7月に新有効成分含有医薬品として申請された。また、当該疾患の重篤性及び本薬の医療上の必要性に鑑みて、2011年6月に希少疾病用医薬品に指定されている。

 ドルナーゼ アルファの承認は、今まで治療法がなかった嚢胞性線維症での肺機能障害において有用性が高いと期待されている。ただし、承認時までの海外での第3相臨床試験では、47.6%に何らかの副作用が認められていることに十分注意する必要がある。主な副作用は、咽頭炎(14.5%)、発声障害(8.2%)、鼻炎(8.1%)、呼吸困難(7.8%)、発熱(3.6%)、胸痛(3.3%)などであった。

 なお、本薬は日本人での投与経験が極めて限られていることから、投与全例に対して安全性及び有効性に関する製造販売後調査を実施することが承認条件となっているので注意したい。