2012年3月30日、2型糖尿病治療薬エキセナチドの徐放製剤(商品名ビデュリオン皮下注用2mg)が製造承認を取得した。適応は「2型糖尿病」であるが、「食事療法・運動療法に加えてスルホニルウレア薬、ビグアナイド系薬及びチアゾリジン系薬(各薬剤単独療法又は併用療法を含む)による治療で十分な効果が得られない場合に限る」となっている。用法・用量は「成人、1回2mgを週1回、皮下注射」である。本製剤は、既に2010年12月から臨床使用されている1日2回投与の皮下注製剤(商品名バイエッタ)の週1回製剤として開発・承認されたGLP-1(グルカゴン様ペプチド−1)受容体作動薬である。 

 GLP-1は、近年の糖尿病治療の研究で注目されている代表的なホルモン「インクレチン」の一つである。食事の摂取により消化管から産生されるインクレチンは、血糖値が高い場合にのみインスリン分泌を増強し、血糖値が正常あるいは低い場合にはインスリンを増強しないという血糖コントロール作用を有する特徴がある。また、グルカゴンの分泌を低下させ、肝臓における糖新生を抑制することも確認されている。

 この数年、このインクレチンに関連した作用機序をもつ糖尿病治療薬、いわゆるインクレチン関連薬が続々と開発されている。一つは、シタグリプチン(商品名ジャヌビア、グラクティブ)をはじめとする「経口DPP-4阻害薬」である。DPP-4(ジペプチジルペプチダーゼ-4)は、インクレチンの分解酵素であり、このDPP-4を阻害することでインクレチンの作用を増強する。もう一つが、エキセナチドなどの「ヒトGLP-1受容体作動薬」である。GLP-1受容体作動薬はこれまで、前述のエキセナチド(商品名バイエッタ)のほか、リラグルチド(商品名ビクトーザ)が臨床使用されているが、いずれも皮下注製剤である。

 ビデュリオンは、エキセナチドの週1回投与製剤である。バイエッタは1日2回の投与が必要であったが、ビデュリオンではエキセナチドを持続的に放出する仕組みを開発し、1週間に1度の投与が可能となった。専用懸濁用液で用時懸濁して使用する。

 今回承認されたエキセナチドの週1回投与製剤は、2009年6月に開催された第69回米国糖尿病学会でも、「週1回投与を長期間(2年以上)継続しても、良好な血糖コントロールおよび体重減少を維持できる」と評価されている。エキセナチドの週1回製剤は、欧州連合(EU)では2011年6月に、米国では2012年1月で承認されている。

 エキセナチドの徐放製剤は、頻回注射の必要がないため患者の負担を軽減できるとともに、特に投与開始初期は通院での注射も可能となることから、有用性が高いと期待されている。ただし、薬剤使用に際しては、従来の1日2回投与製剤と同様、インスリン製剤の代替薬でないことについて、十分理解しておかなければならない。