2012年3月30日、夜尿症用薬のデスモプレシン酢酸塩水和物の経口製剤(商品名ミニリンメルトOD錠120μg、同OD錠240μg)が製造承認を取得した。適応は「尿浸透圧あるいは尿比重の低下に伴う夜尿症」であり、用法・用量は「1日1回就寝前に120μgから投与し、効果不十分な場合には1日1回就寝前240μgまで」となっている。デスモプレシン製剤としては、既に点鼻液(1978年8月承認)とスプレー(2.5μg/噴霧:1999年3月承認)が中枢性尿崩症の適応で、スプレー(10μg/噴霧:2003年1月承認)が夜尿症の適応で、さらに注射製剤(1988年11月承認)が第VIII因子放出型血友病A、von Willebrand病などの適応で発売されている。

 夜尿症は、夜間の尿量や膀胱容量の異常、睡眠覚醒の異常など、様々な要因で発症する疾患である。6歳児の約10%、10歳児の約5%、16歳児の約2%、6〜16歳児全体では7%が罹患しているとされる。デスモプレシンは、強い抗利尿活性を有し、尿を濃縮することで尿量を減少させる作用を有している。

 夜尿症治療において、デスモプレシンの点鼻製剤を使用すると、デスモプレシンの経口製剤を使用した場合に比べて低ナトリウム血症が多く報告されていることから、既に経口製剤が承認されている国では点鼻製剤の適応から夜尿症が削除されていた。

 一方、日本ではこれまで経口製剤が承認されていなかったことに加え、デスモプレシン製剤の適正使用に関する医療従事者の意識が高く、患者の水分摂取が適切に行われていたこともあって、欧米では削除されている点鼻製剤の夜尿症への適応が、そのまま維持されていた。そして2008年、医薬品医療機器総合機構(PMDA)から製薬会社に対し、経口製剤の開発についての意向確認が行われたのを契機に、より安全性が高いと考えられる経口製剤が開発されることになった。

 今回承認されたミニリンメルトは、デスモプレシン含有製剤では日本初の経口剤であり、しかも就寝前に水なしで服用することができる便利な口腔内崩壊錠である。海外では、デスモプレシンの口腔内崩壊錠は、2005年7月デンマークで承認されて以降、2012年2月現在、欧州を含む世界70カ国以上で承認されている。また、ICCS(国際小児禁制学会)では夜尿症治療の第一選択薬とされ、ICI(国際尿失禁会議)ではグレードA及びエビデンスレベル1と高く評価されている。

 なお、承認時までの国内臨床試験で認められた副作用(臨床検査値異常を含む)は、腹痛・倦怠感(各2.2%)であった。また、既存のデスモプレシン製剤と同様に、最も留意すべき副作用は水中毒(重篤な低ナトリウム血症による痙攣など)なので、薬剤投与中には常に注意しておかなければならない。
 

■訂正
2012.4.29に以下を訂正いたしました。
・商品名を「ミニリンメルド」としていましたが、正しくは「ミニリンメルト」です。