2012年3月30日、抗悪性腫瘍薬のクリゾチニブ(商品名ザーコリカプセル200mg、同カプセル250mg)が製造承認を取得した。適応は「ALK(未分化リンパ腫キナーゼ)融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」で、用法・用量は「成人1回250mg、1日2回。患者の状態により適宜減量」となっている。

 世界的に見ると、肺癌は、男性の死亡原因の第1位、女性では第2位であり、そのうち85%は非小細胞肺癌(NSCLC)といわれている。非小細胞肺癌の約75%は診断された時点で進行または転移が認められ、5年生存率はわずか6%である。また、進行非小細胞肺癌に対する現在の標準治療の奏功率は15〜35%である。

 2007年、非小細胞肺癌の検体から、EML4(微小管会合蛋白)-ALK融合遺伝子が、日本人研究者によって発見された。EML4-ALK融合遺伝子から産生されるEML4-ALK融合蛋白は、内在するチロシンキナーゼが恒常的に活性化することにより、強力な癌化能を有する。これまで調査では、非小細胞肺癌患者のうち、3〜5%程度がALK融合遺伝子陽性だと推定されている。

 今回承認されたクリゾチニブは、ALKの受容体チロシンキナーゼ(RTK)とその発癌性変異体(ALK融合蛋白及び特定のALK変異体)に対するチロシンキナーゼ阻害薬である。2011年3月に希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)に指定されている。

 有効性に関しては、ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌患者を対象とした海外第1相試験において、全体の奏功率61.2%、日本人では93.3%であり、8週における病勢コントロール率は全体で79.3%、日本人で93.3%となっている。海外でグリゾチニブは、2011年8月米国で承認されて以降、2012年3月現在、韓国、イスラエル、スイス、メキシコで承認されている。

 承認時までの海外第1相試験及び国際共同第2相試験では、副作用(臨床検査値異常を含む)が96.1%に認められている。主な副作用は、悪心(53.3%)、視力障害(45.1%)、下痢(42.1%)、嘔吐(39.6%)、便秘(27.1%)、末梢性浮腫(25.1%)などであった。また、重大な副作用としては、間質性肺炎、肝不全、肝機能障害、QT間隔延長、血液障害などが報告されている。

 なお、薬剤使用に際しては、国内での治験症例が少ないことから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでは、全使用症例を対象に使用成績調査を実施することが承認条件となっている。