2012年1月18日、オキシコドン塩酸塩水和物の注射製剤(商品名オキファスト注10mg、同注50mg)が製造承認を取得した。適応は「中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛」で、用法・用量は「1日7.5mg〜250mgを持続静注又は持続皮下注」である。オキシコドン製剤は、既に持続性の錠剤(商品名オキシコンチン)が2003年7月から、追加投与用の散剤(商品名オキノーム)が2007年2月から臨床使用されている。

 癌疼痛治療は、経口薬が基本とされ、病状悪化などで経口摂取が困難になった場合に、外用薬(坐剤及び貼付剤など)に変更される。さらに、外用薬での投与も難しい場合や、高用量のオピオイドが必要となった場合には注射製剤を持続投与する。

 従来から、オピオイドの注射製剤として汎用されているモルヒネ注射液は、肝臓で代謝されて活性代謝物になるが、活性代謝物は腎臓から排泄されることから、腎機能障害がある場合には体内への蓄積が起こる可能性があり、使用には注意が必要となる。一方、モルヒネと同じμ作動薬のオキシコドンは、腎臓から排泄される代謝物に臨床的に有意な鎮痛活性がないため、腎機能障害のある患者ではモルヒネ注射液よりも有用性が高いとされる。

 オキシコドンを含有する注射製剤として、日本では1920年代から複方オキシコドン注射液(商品名パビナール)が販売されているものの、皮下注射製剤である上、オキシコドン以外に配合されているヒドロコタルニン塩酸塩の有効性と安全性に関する情報が十分ではないという問題があった。こうしたことから、経口のオキシコドン製剤を使用している患者がオピオイド注射製剤に変更する場合には、やむなくモルヒネ注射製剤に切り替えるというケースがしばしばあった。

 今回承認されたオキシコドン注射製剤は、海外では2003年4月に英国で承認されて以降、2010年12月現在、フランス、ドイツを含む世界21カ国で承認されている。日本では、2007年7月に日本緩和医療学会から、厚生労働省に対して早期の開発及び承認を求める要望書が提出されている。この要望を受けて、厚生労働省の未承認薬使用問題検討会で審議され、「開発する必要のある医薬品」との結論が出され、今回の承認に至った経緯がある。

 承認までの臨床試験では、69.3%に何らかの副作用が認められている。主な副作用は、傾眠、便秘(各23.8%)、嘔気(22.8%)、嘔吐(19.8%)などであった。