2012年1月18日、不眠症治療薬のエスゾピクロン(商品名ルネスタ錠1mg、同錠2mg、同錠3mg)が製造承認を取得した。用法・用量は「成人1回2mg、高齢者1回1mgを就寝前に投与。なお、成人1回3mg、高齢者1回2mgを超えないこと」となっている。

 不眠症は、生活習慣の多様化などにより睡眠の開始と持続、眠りの質などが繰り返し障害され、昼間の生活に支障を来たすようになった状態をいう。日本では2000万人以上が不眠症で悩んでいると推定されており、この数も年々増加傾向にあるといわれている。

 不眠症の治療では、ベンゾジアゼピン系睡眠薬及び非べンゾジアゼピン系睡眠薬が主に使用されている。これらは、血中半減期などで超短時間作用型、短時間作用型、中間型、長時間作用型などに分類され、患者の不眠症のタイプにより使い分けられている。具体的には、比較的多い「入眠障害」の患者には、超短時間型の非ベンゾジアゼピン系睡眠薬であるゾルピデム(商品名マイスリー)やゾピクロン(商品名アモバン他)の使用が主流となっている。

 今回、承認されたエスゾピクロンは、ラセミ体であるゾピクロンを光学分割して得られた、薬理活性の大部分を有する光学活性体(s体)である。本薬は、ゾピクロンと同様、GABA(γ-アミノ酪酸)受容体作動薬としてGABA受容体のイオンチャネル型であるGABAA受容体に結合することにより、GABAの効果を増強し、睡眠を誘発すると考えられている。

 国内外の臨床試験では、入眠障害に加え、中途覚醒にも有効であることが確認されている。また、臨床的に問題となる依存性や持ち越し効果などが認められず、長期投与による耐性(有効性の減弱)を示さない点も特徴とされている。海外では、2005年に米国で投与期間に制限がない不眠症治療薬として承認されている。

 海外の並行群間比較試験では、50.0%に何らかの副作用が認められている。主な副作用は、味覚異常(21.0%)、頭痛(10.7%)、傾眠(7.8%)、浮動性めまい(5.1%)などであり、重大な副作用は、ショック、アナフィラキシー様症状、依存性、呼吸抑制、肝機能障害、精神症状、意識障害及び一過性前向性健忘、もうろう状態などである。なおエスゾピクロンでは、既存のゾピクロンでは認められている「麻酔前投薬」への適応がないことに留意しておく必要がある。