2012年1月18日、外用局所麻酔薬のリドカイン・プロピトカイン配合製剤(商品名エムラクリーム)が製造承認を取得した。本薬は、アミド型局所麻酔薬であるリドカインとプロピトカインが同量(各25mg/g)ずつ配合された製品である。適応は「皮膚レーザー照射療法時の疼痛緩和」であり、レーザー照射部位に10平方センチメートル当たり1gを密封法(ODT)で60分間塗布することとなっている。1回の使用量は10gまでで、塗布時間は120分を超えないこととされている。

 一般に、青あざ(太田母斑など)の治療等で広く行われているレーザ照射療法は、照射時に痛みがあることから、疼痛緩和を目的に注射による局所麻酔などが汎用されている。しかし、局所麻酔は麻酔効果は十分ではあるが、注射針穿刺時の痛みや、薬液で組織が押し広げられる際に生じる痛みがしばしば問題となる。

 そうした理由で近年、リドカインのスプレーやゼリー製剤(商品名キシロカイン)、テープ製剤(商品名ペンレス)などの外用局所麻酔薬の使用頻度が高くなっている。ただし、これらの製剤は皮膚への浸透性が低いことから、十分な麻酔効果が得られない症例が多かった。

 皮膚から局所麻酔薬を浸透させ、神経終末が存在する真皮に到達させるには、疎水性の局所麻酔薬を高濃度に含んだ水分含量の高い製剤が必要となる。エムラクリームでは、室温では固体で存在するリドカインとプロピトカインが、等モルで混合すると融点が下がり室温で液体になる性質を利用することで、水分含量が多く、油滴中への高濃度の配合が可能となっている。

 こうした製剤上の工夫により、本薬は、皮膚透過性に優れ、十分な麻酔効果が得られることから、日本で初めて「皮膚レーザー照射療法時の疼痛緩和」の適応を取得している。臨床試験では、皮膚レーザー照射療法が必要な疾患(太田母斑、扁平母斑、単純性血管腫及び毛細血管拡張症)に対して、有効性及び安全性が確認されている。海外では、1984年にスウェーデンで承認されて以来、2011年6月現在、世界約70カ国で承認されている。

 承認時までの国内臨床試験では、35.1%に何らかの副作用(臨床検査値異常を含む)が認められているので注意が必要である。主な副作用は、適用部位紅斑(33.0%)、適用部位蒼白(8.2%)、紅斑・錯感覚・ALT増加(各1.0%)であり、重大な副作用としては、ショック、アナフィラキシー様症状、意識障害、振戦、痙攣、メトヘモグロビン血症が報告されている。