2012年1月18日、深在性真菌症治療薬のカスポファンギン酢酸塩(商品名カンサイダス点滴静注用50mg、同点滴静注用70mg)が製造承認を取得した。適応は「(1)真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症(FN)、(2)各種真菌感染症:カンジダ症(食道カンジダ症、侵襲性カンジダ症)、アスペルギルス症(侵襲性アスペルギルス症、慢性壊死性肺アスペルギルス症、肺アスペルギローマ)」であり、1日1回50〜70mgを、1時間かけて緩徐に点滴静注する。

 一般に深在性真菌症は、死に至る重篤な感染症である。強力な化学療法や免疫抑制療法が行われている患者に、カンジダ、アスペルギルス、クリプトコッカス、ムコールなどが日和見感染することで発症する。治療薬としては現在、アムホテリシンB(AMPH-B:商品名ファンギゾン)やフルコナゾール(FLCZ:商品名ジフルカンなど)といったアゾール系薬剤が主に使用されている。またアゾール系薬剤では十分な臨床効果が得られないアスペルギルス症や、アゾール系薬剤に耐性を示すカンジダなどに対しては、新しい構造を有するキャンディン系薬剤であるミカファンギン(MCFG:商品名ファンガード)も臨床使用されている。

 今回承認されたカスポファンギン(CPFG)は、ミカファンギンに次いで2成分目となるキャンディン系薬剤である。真菌の細胞壁の主要構成成分であるグルカンポリマーの形成に関与する(1,3)-β-グルカン合成酵素の活性を特異的に阻害することで、抗真菌活性を発揮する。キャンディン系薬剤は、高い抗真菌活性を持つことやスペクトルが広いことが特徴であるが、作用点である(1,3)-β-グルカン合成酵素が宿主の人には存在しないことから、副作用が起こりにくく安全性が高いと考えられている。

 カスポファンギンは、世界初のキャンディン系薬剤として2000年12月にメキシコで承認されて以降、2011年9月現在、世界84カ国で販売されており、海外のガイドラインなどでも推奨されている。なお、日本では2002年に先行発売されたミカファンギンは、その後、小児への適応を取得したが、現時点ではカスポファンギンに小児への適応はない。

 承認時までの国内第3臨床試験では、副作用(臨床検査値異常を含む)が38.3%に認められている。主な副作用は、AST増加(10.0%)、ALT増加(8.3%)、高血圧・好酸球数増加(各5.0%)などであり、重大な副作用としては、アナフィラキシー様症状、肝機能障害に注意が必要である。