2012年1月18日、経口選択的直接作用型第Xa因子(FXa)阻害薬のリバーロキサバン(商品名イグザレルト錠10mg、同錠15mg)が製造承認を取得した。適応は「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」で、用法・用量は「成人1日1回15mg、食後投与。なお、腎障害の患者には腎機能の程度により1日1回10mgに減量する」となっている。

 多数ある血液凝固因子うち、血液凝固に中心的な役割を果たすのが、プロトロンビンからトロンビンを生成しフィブリン形成を促進する「第Xa因子(FXa)」と、フィブリノゲンをフィブリンに変える反応を触媒する「トロンビン」である。これらの働きを抑えるFXa阻害薬や抗トロンビン薬を使うことで、血栓形成を抑制することが期待できる。

 FXa阻害薬は、注射剤としては従来からエノキサパリンナトリウム(商品名クレキサン)などの低分子ヘパリンや、フォンダパリヌクス(商品名アリクストラ)が使用されてきたが、2011年に経口製剤のエドキサバン(商品名リクシアナ)が登場した。また抗トロンビン薬は、注射剤としてアルガトロバン水和物(商品名ノバスタン、スロンノンなど)が使用されてきたほか、2011年には経口製剤のダビガトラン(商品名プラザキサ)が発売されている。さらに、これらとは異なる機序(ビタミンK拮抗作用)を持つ経口抗凝固薬として、ワルファリン(商品名ワーファリンほか)が古くから使用されている。

 これら抗凝固薬は、それぞれに異なる適応を持っているが、「心房細動に伴う脳卒中」に適応を持つ経口剤は、ワルファリンとダビガトランのみであり、これまで経口FXa阻害薬には、この適応を持つ薬剤はなかった。経口FXa阻害薬であるエドキサバンの適応は「下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制」のみである。

 今回、承認されたリバーロキサバンは、「心房細動に伴う脳卒中」に適応を持つ初めてのFXa阻害薬となる。FXa活性部位との親和性が高く、選択的かつ直接的に第Xa因子を阻害する。また吸収が良好で、バイオアベイラビティも高いことも特徴である。

 日本での用量は、国内外の臨床試験データに基づいて、海外よりも低く設定されている。海外では、整形外科領域の適応で、カナダ、米国、欧州を含む世界113カ国(2011年10月末現在)で承認されており、今回の適応では、2011年にウクライナ、米国、欧州で承認されている。

 今回の承認は、心房細動に伴う脳卒中の予防に使用できる新たな選択肢が増えることから、注目を集めている。ただし使用に際しては、承認時までの国内第3相試験(対象は非弁膜症性心房細動患者)において、51%に何らかの副作用(臨床検査値異常を含む)が報告されていることに十分な注意が必要である。主な副作用は、鼻出血(13.8%)、皮下出血(7.8%)、歯肉出血(6.3%)などであり、重大な副作用としては、出血、肝機能障害・黄疸の報告がある。