2011年12月に、経口抗凝固薬のワルファリンカリウム(商品名ワーファリンほか)の添付文書が改訂され、用法・用量と使用上の注意の記載内容が変更された。具体的には、用法・用量の欄に記載されていた初回投与量に関する記載が見直され、「成人における初回投与量は、ワルファリンカリウムとして、通常1〜5mg1日1回である」となった。また、これに伴って、用法・用量に関連する使用上の注意についても、「初回投与量をできる限り少量にする」という表現から、「成人における維持投与量は1日1回1〜5mg程度となることが多い」と変更された。

今回の改訂で変更された部分(用法・用量欄の初回投与量に関する部分のみを抜粋)

【旧】
投与法は、ワルファリンカリウムとして、成人初回20〜40mgを経口投与し、1両日休薬して凝固能が治療域に入ったのを確認して1〜5mg程度の維持量を毎日1回経口投与する方法と、初めから5〜6mgを毎日1回経口投与し、数日間をかけて治療域に入れ、以後維持量を経口投与する方法とがある。

【新】
成人における初回投与量は、ワルファリンカリウムとして、通常1〜5mg1日1回である。


 ワルファリンは、血栓塞栓症の治療や予防において、中心的な薬剤として使用されているクマリン系抗凝固薬である。ビタミンKの作用に拮抗し、肝臓のビタミンK依存性血液凝固因子(プロトロンビン、第VII、第IX及び第X因子)の生合成を抑制することで、抗凝血効果を発揮する。使用にあたっては、血液凝固能検査(トロンボテスト、プロトロンビン時間など)を行い、個々の患者の病態に合わせて投与量が調整される。

 今回、ワルファリンの用法・用量が変更されたのは、承認されて用量(特に、成人の初回投与量:20〜40mg)が現在の実態と乖離しており、記載通りに使用すると過量投与になり出血等のリスクがあるためである。これまでも出血リスクについては、添付文書上で注意喚起は行われていたものの、用法・用量の記載の変更までには至っていなかったことから、メーカーが日本血栓止血学会に学術的な検討を依頼。その後、学会から用法・用量の変更に関する要望書が提出され、今回の改訂に至っている。

 今回、広く臨床現場で使用されているワルファリンの用法・用量が改訂されたことは、実態との整合性を持たせたものとして、医療従事者からも高く評価されている。とはいえ、ワルファリンの薬剤感受性は個人差が大きく、同一個人でも体調などによって変化することから、投与量の設定は血液凝固能検査値に基づいて行う必要があることについては、これまで通りである。