2011年11月25日、抗悪性腫瘍薬のゲフィチニブ(商品名イレッサ錠250)の添付文書が改訂され、適応症などが変更となった。改訂後の適応症は「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌」である。これは、これまでの臨床研究・試験などで、本剤が有効だった非小細胞肺癌患者において上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異が多く認められたこと、アジア国際共同第3相臨床試験でEGFR遺伝子変異がゲフィチニブの効果予測因子と成り得るとの結果が得られたことが根拠となっている。これらのエビデンスに関しては、その後、日本国内での2つの医師主導型第形衫彎音邯海任盂稜Г気譴討い襦

 ゲフィチニブは、EGFRチロシンキナーゼ阻害作用を示す分子標的治療薬であり、2002年から「手術不能又は再発非小細胞肺癌」の適応で臨床使用されている。このEGFRは、非小細胞肺癌を含め多くの悪性腫瘍で過剰発現しており、腫瘍の増殖・維持に関与していることが明らかになっている。そして、EGFRの過剰発現が認められている腫瘍は、発現が認められていない腫瘍に比べて高転移性を示すことや予後不良であることが報告されている。

 ゲフィチニブは、EGFR細胞内チロシンキナーゼ領域のATP結合部位においてATPと競合的に拮抗することで、癌細胞の増殖抑制、アポトーシス誘導に基づき、抗悪性腫瘍効果を発揮する。非小細胞肺癌の化学療法でゲフィチニブと同じ作用機序を有する薬剤としては、2007年12月から臨床使用されているエルロチニブ塩酸塩(商品名タルセバ)がある。

 今回のゲフィチニブの適応変更により、医療現場では本剤の使用患者がより絞りこまれるようになり、有効性と安全性が高まることが期待される。ただし使用に際しては、事前にEGFR遺伝子変異検査を実施することが必要であり、検査できない場合には『肺癌診療ガイドライン』(日本肺癌学会)等の最新の情報を参考に行うとされているので注意したい。

 また、発売後の臨床試験では、発疹、下痢、皮膚乾燥などの副作用が高頻度に認められているので、十分な注意が必要である。特に、ゲフィチニブ投与による死亡例を含む重篤な急性肺障害・間質性肺炎については、警告欄にも記載されている。薬剤使用により発現する可能性のある致死的な重大な副作用については、その初期症状も含めて患者に十分な説明を行うとともに、患者の状態を常に観察することが必要である。