2011年11月25日、シート状生物学的組織接着・閉鎖剤の「タコシール組織接着用シート」(一般名:ヒトフィブリノゲン・トロンビン画分)が薬価収載された。適応は、「肝臓外科、肺外科、心臓血管外科、産婦人科及び泌尿器外科領域における手術時の組織の接着・閉鎖(ただし、縫合あるいは接合した組織から血液、体液又は体内ガスの漏出をきたし、他に適切な処置法のない場合に限る)」である。適当な大きさに切ったシートを、乾燥したままもしくは生理食塩液でわずかに濡らした状態で、接着・閉鎖部位に貼付して使用する。

 組織接着剤は、主に手術の創部に使われる血漿分画製剤で、縫合部、切断面、切離部分からの血液や体液の漏れや、肺などの切断面からの空気漏れを防ぐために使用される。縫合部などに貼り付けるシート状の「タココンブ組織接着用シート」(一般名:ヒトフィブリノゲン・トロンビン画分・アプロチニン)と、溶液をスプレーする液状製剤の「ベリプラストPコンビセット組織接着用」「ボルヒール組織接着用」(フィブリノゲン加第XIII因子・アプロチニン・トロンビン・塩化カルシウム)がある。

 これら組織粘着剤は、有効性などについては高く評価されているものの、製造工程で牛由来成分を使用していることから、使用によるウシ海綿状脳症(BSE)などへの感染リスクや、アレルギー様反応の発症リスクがあることが危惧されていた。

 今回、薬価収載されたタコシールは、日本では1998年から使用されているタココンブと同じシート状の組織接着剤である。タコシールは、タココンブと比較して、次の特徴を有している。
(1)ウシアプロチニンを除き、ウシ由来のトロンビン画分をヒト由来のトロンビン画分に変更することで、ウシ由来の感染リスクやアレルギー様反応発症リスクが払拭された。
(2)適応症に、新たに泌尿器外科領域が追加された。
(3)タココンブでは「凍結を避けた10℃以下で保存」が必要だが、タコシールでは室温(1〜30℃)保存が可能。

 臨床試験では、タココンブに対する非劣性が確認されている。海外でタコシールは、2004年のに欧州連合(EU)、2010年に米国で承認されて以降、2011年7月現在で世界49カ国で承認を得ている。なお、日本でのタコシールの薬価は、タココンブと同額(最小規格はタコシールの方が安価)に設定されている。

 タコシールは、副作用等の安全上の問題に関しても、タココンブと大きな違いは認められていないことから、発売後はタココンブからの切り替えが進むものと考えられる。ただし使用に際しては、既存のタココンブと同様、単に止血目的で使用する製剤でないことや副作用発現などに十分注意しなければならない。