2011年9月26日、閉経後乳癌治療薬のフルベストラント(商品名フェソロデックス筋注250mg)が製造承認を取得した。適応は「閉経後乳癌」で、1回に2筒(500mg)使用する。初回、2週間後、4週間後、その後は4週ごとに1回、左右の臀部に1筒(250mg)ずつ筋注する。

 乳癌は、日本の女性で最も罹患率の高い癌である。乳癌では、その約7割がエストロゲンに感受性とされる。このエストロゲン感受性の乳癌は、エストロゲンが内分泌性増殖因子として作用することから、抗エストロゲン薬などの内分泌療法薬を使った薬物療法が行われるのが一般的である。

 内分泌療法薬として使用されるのは、エストロゲン受容体を阻害するタモキシフェン(商品名ノルバデックス他)のほか、エストロゲン産生に関与するアロマターゼを阻害するエキセメスタン(商品名アロマシン)、レトロゾール(商品名フェマーラ)、アナストロゾール(商品名アリミデックス)などが使用されている。このうちタモキシフェンは、非ステロイド性抗エストロゲン薬であり、エストロゲン受容体と結合して効果的にエストロゲンの作用を阻害する。ただし同薬には、部分アゴニスト活性があることから、抗癌作用が不完全である可能性が指摘されていた。

 今回、承認されたフルベストラントは、ステロイド性抗エストロゲン薬に分類される薬剤である。部分アゴニスト作用は有しておらず、タモキシフェンより強いエストロゲン拮抗作用を示す。また、乳癌細胞においてエストロゲン受容体をダウンレギュレートする効果を持つことから、国内初の「Selective Estrogen Receptor downregulator」(SERD)に分類される。

 臨床試験でフルベストラントは、タモキシフェンなどの内分泌療法薬で既に治療した閉経後進行・再発乳癌患者の無増悪生存期間を延長することが確認されており、その効果も持続的であることが期待されている。また、同薬は、2002年4月に米国、2004年3月に欧州連合(EU)でSDレジメン(250mgを4週毎)が認められていたが、その後に至適用量を検討する第3相臨床試験(CONFIRM)が行われ、高用量(HDレジメン=日本で承認された用量)での使用が認められたという経緯がある。なおフルベストラントは、消化管吸収率が低い上、静脈内投与をしても半減時間が短いことから、作用の長時間化を狙って筋肉内投与製剤となっている。

 承認時までの国内臨床試験(500mg投与群)では、67.9%に副作用が認められている。主な副作用は、注射部位の疼痛(28.6%)・硬結(23.2%)・そう痒(10.7%)、ほてり(14.3%)などであり、重大な副作用としては、肝機能障害、血栓塞栓症が報告されている。また、動物実験で生殖毒性や出生児の生存率低値が認められているため、妊婦や授乳婦での使用は禁忌となっていることにも留意する必要がある。