2011年9月26日、選択的ニューロキニン1受容体拮抗型制吐薬ホスアプレピタントメグルミン(商品名プロイメンド点滴静注用150mg)が製造承認を取得した。適応は「抗悪性腫瘍薬(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)で遅発性を含む」であり、用法・用量は「他の制吐薬との併用において、抗悪性腫瘍薬投与1日目に1回150mg、点滴投与」となっている。本薬は、内服薬のアプレピタント(商品名イメンド)のプロドラッグ製剤である。

 癌化学療法によって引き起こされる悪心・嘔吐は、患者の苦痛も強く、QOL低下が生じることから、治療を継続するに当たっては最も重要で解決しなければならない課題の一つである。悪心・嘔吐のメカニズムとしては、化学物質受容体(CTZ)の活性化、消化管粘膜からのセロトニン分泌促進による求心性迷走神経の活性化、精神的素因などによる大脳皮質からの刺激経路などが判明している。また、症状の発現時期により、癌化学療法によって引き起こされる悪心・嘔吐は、「急性」「遅延性」「予測性」の3つに大別されている。

 今回、承認されたプロイメンドは、2009年12月に発売されたアプレピタント(商品名イメンド)の水溶性を向上させたプロドラッグ製剤である。静脈投与後、体内の脱リン酸化酵素によって活性本体であるアプレピタントへと代謝される。アプレピタントは、選択的ニューロキニン1(NK1)受容体拮抗型制吐薬である。NK1受容体は、嘔吐や痛みなどの発現に大きく関与している神経伝達物質サブスタントPの受容体でもあり、アプレピタントは、サブスタントPとNK1受容体との結合を選択的に遮断することで悪心・嘔吐を抑制すると考えられている。

 国内外の臨床試験では、急性の悪心・嘔吐に加え、既存治療では十分な効果が得られなかった遅発性の悪心・嘔吐にも有効であることが確認されている。プロイメンドは、2011年3月現在、米国、欧州連合(EU)諸国をめた世界33カ国の国と地域で承認されている。また、2011年3月の米国国立包括癌ネットワーク(NCCN)のガイドラインに追記され、高度催吐性の抗悪性腫瘍薬投与に伴う悪心・嘔吐の予防薬としての使用が推奨されている。

 静注製剤のプロイメンドが承認されたことは、イメンドの経口摂取が困難な癌患者にとって朗報である。また、抗悪性腫瘍薬などの投与のために薬剤投与ルートが確保されている患者では、以前から静脈投与できる制吐薬のニーズが高く、医療関係者にとっても有用性が高い製剤と考えられる。

 承認時までの国内臨床試験では、26.4%に何らかの副作用(臨床検査値異常を含む)が認められている。主な副作用は、便秘(9.2%)、ALT上昇(6.9%)、しゃっくり(5.7%)、注入部位疼痛・滴下投与部位痛(5.2%)などであり、重大な副作用としては、皮膚粘膜眼症候群、穿孔性十二指腸潰瘍、アナフィラキシー反応が報告されている。