2011年9月15日、冠動脈CTにおける描出能改善薬のランジオロール塩酸塩(商品名コアベータ静注用12.5mg)が発売された。本薬は、既に7月1日に製造承認を取得し、9月12日に薬価収載されている。適応は、「CTによる冠動脈造影における高心拍数時の冠動脈描出能の改善」であり、用法・用量は「1回0.125mg/kgを1分間で静脈内投与」である。なお、同じランジオロール塩酸塩製剤の「注射用オノアクト50」は、既に2002年から、頻脈性不整脈に対する緊急処置の適応で使用されている。

 近年、狭心症や急性心筋梗塞などの虚血性心疾患において、冠動脈の狭窄や閉塞を診断する方法として、三次元画像解析が可能なマルチスライスCTを用いた「冠動脈CT」が注目されている。冠動脈CTは、心臓カテーテルによる冠動脈造影に比べて侵襲が低く、外来で比較的短時間で終了する簡便な検査である。しかし、冠動脈CT検査時に心拍数が高くなってしまい、画質低下が生じて的確な診断ができないケースがあることから、検査中の短時間だけ心拍数を低下させる薬剤の開発が求められていた。

 ランジオロールは、主に心臓に多く存在するβ1受容体を選択的に遮断することで、心拍数を速やかに低下させる作用を持つ「短時間作用型β1選択性遮断薬」である。投与直後に心拍数減少作用を示す一方で、15〜30分で血中から速やかに消失するため、速効性と調節性に優れている。今回発売された12.5mg製剤は、「1回0.125mg/kgを1分間で静脈内投与」という新たな用法・用量に適合させた低含量製剤であり、医療過誤のリスクも考慮されている。

 承認時までの臨床試験(プラセボとの第3相二重盲検比較試験)では、虚血性心疾患患者(検査前の心拍数70回/分以上、90回/分以下)の冠動脈CTにおける冠動脈描出能(冠動脈狭窄の程度が診断可能な患者割合)が、プラセボ群38.2%に対して、本薬群では68.2%と有意な改善効果を示したことが報告されている。

 臨床試験では、何らかの副作用(臨床検査値異常を含む)が5.3%に認められている。主な副作用は、血圧低下(1.1%)、ALT上昇・発疹(各0.8%)、AST上昇・ビリルビン上昇・白血球増加(各0.5%)などであった。また、既存の50mg製剤で認められている重大な副作用(ショック、心停止、完全房室ブロック、洞停止、高度徐脈)にも注意が必要である。