2011年7月1日、抗てんかん薬のガバペンチン(商品名ガバペン錠200mg、同錠300mg、同錠400mg)に、新用量(3歳以上の小児用量の追加)が承認された。これに合わせて、5%シロップ製剤(商品名ガバペンシロップ5%)が製造承認を取得し、9月12日に薬価収載され、10月5日に発売された。

 てんかんは、「種々の成因によって起こる慢性の脳障害で、大脳ニューロンの過剰発射の結果起こる反復性発作(てんかん発作)を主な症状とし、これに種々の臨床症状及び検査所見を伴うもの」と定義されている。日本におけるてんかんの有病率は0.5〜1%で、患者数数は100万人と推定されている。いずれの年齢層でも発症するが、特に小児期から思春期にかけての発症が多い。

 治療では、抗てんかん薬を使用した発作抑制が基本となる。従来、抗てんかん薬は、神経細胞膜やシナプス機能に直接作用して、神経細胞の過剰興奮を抑制するフェニトイン(商品名アレビアチン、ヒダントール)、カルバマゼピン(商品名テグレトールほか)、バルプロ酸ナトリウム(商品名デパケン、バレリン、ハイセレニンほか)などが使用されてきた。しかし、ここ10年で、これら薬剤では発作がコントロールできない難冶症例が全体の3割程度を占めるようになり、そうした症例を中心にガバペンチンがよく使用されるようになっている。

 ガバペンチンは、抑制性伝達物質γ-アミノ酪酸(GABA)の誘導体であり、カルシウムの流入を抑制することで、グルタミン酸などの興奮性神経伝達物質の遊離を抑制する。この新規作用機序に加え、ガバペンチンには、体内でほとんど代謝されず、薬物代謝酵素を誘導・阻害しないため相互作用が起こりにくいといった特徴がある。

 海外では、1993年に米国と英国で承認され、1999年には小児への適応も取得している。現在までに欧州連合(EU)、アジアを含む世界80カ国以上で使用されている。日本では、2006年9月に錠剤が発売されたが、小児には適応がなく、日本小児神経学会から早期承認を求める要望書が提出されていた。

 なおガバペンチンの適応症は、「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法」である。同じ「部分発作(二次性全般化発作を含む)」を適応とし、併用療法で使用される抗てんかん薬のうち、小児への用法・用量が設定されている薬剤には、他にラモトリギン(商品名ラミクタール)、クロバザム(商品名マイスタンなど)がある。

 今回、ガバペンチンで3歳以上の小児用量が承認され、同時に用量調節に適した剤形としてシロップ剤が追加されたことは、医療関係者のみならず患者及び家族にとっても朗報といえる。しかし薬剤使用に際しては、承認時までの小児を対象とした臨床試験などで、何らかの副作用が39%に認められていることに十分な注意が必要である。主な副作用は、傾眠(27.3%)などであり、重大な副作用としては、既存の錠剤と同様、急性腎不全などが添付文書に記載されている。