2011年9月12日、抗菌薬アジスロマイシンの注射製剤(商品名ジスロマック点滴静注用500mg)が薬価収載された。本薬は、7月1日に製造承認を取得している。アジスロマイシン(AZM)自体は、既に2000年5月から、各種の経口製剤(錠剤、カプセル剤、ドライシロップ剤、細粒剤)が発売されている。AZM注射製剤の適応は「肺炎」であり、用法・用量は「1日1回500mgを2時間かけて点滴静注」となっている。

 15員環マクロライド系抗菌薬のAZMは、インフルエンザ菌やモラクセラ・カタラーリスなどの定型菌、マイコプラズマ・ニューモニエやレジオネラなどの非定型菌に対して抗菌活性を有している。また、AZMは組織移行性が優れており、血中濃度と比較して、高い組織内濃度を示す特徴がある。これらの特徴が評価され、日本でも、AZM経口製剤は、軽症〜中等症の肺炎などの各種感染症に対して医療現場で頻用されている。

 しかし、合併症や加齢などにより消化管機能の低下している患者や、経口製剤の服用困難な患者、全身状態の悪化している患者などの感染症治療においては、消化管からの吸収を必要としない注射用抗菌薬が必要となる。これまで、マクロライド系抗菌薬の注射薬は、エリスロマイシン(EM)のみであった。しかしEM注射製剤は、注射回数、薬物相互作用及び副作用の観点から使用に際しての問題も多かった。そうした問題の少ないAZM注射製剤は、海外では米国で1997年1月に承認されて以降、2011年2月現在、世界54カ国の国と地域で承認されている。日本においては、関連学会などからも要望もあり、今回の承認に至っている。

 また、AZM注射製剤の登場で、海外と同様、経口製剤とのスイッチ療法が可能になることも大きなメリットである。欧米では、医療経済の観点からスイッチ療法が汎用されている。具体的にスイッチ療法とは、感染初期に高用量をフロントローディングすることにより、早期に臨床症状を改善し、その後、症状改善傾向が認められた時点で経口製剤に切り替える療法である。このスイッチ療法を行うことで、患者の負担軽減(侵襲性のある静注から非侵襲性の経口剤へ)のほか、入院期間の短縮(患者の早期社会復帰、医療費削減)、院内感染リスク軽減(静脈炎・カテーテル感染の減少)などの効果がある。

 承認時までの国内外の臨床試験では、経口製剤との安全性プロファイルに大きな違いはないものの、下痢などの消化器系有害症状の発現頻度が比較的高いこと、注射部位疼痛が認められていることに注意が必要である。