2011年9月16日、過活動膀胱治療薬ミラベグロン(商品名ベタニス錠25mg、同錠50mg)が発売された。本薬は、既に7月1日に製造承認を取得し、9月12日に薬価収載されている。適応は「過活動膀胱における尿意切迫、頻尿及び切迫性尿失禁」であり、用法・用量は「成人に1日1回食後に50mg経口投与」となっている。

 近年、QOLに影響する泌尿器領域の代表的な疾患として、尿失禁などの下部尿路機能障害(LUTD)がクローズアップされているが、その原因の一つが過活動膀胱OAB)である。過活動膀胱は、蓄尿障害により尿意切迫感や切迫性尿失禁などを生じる病態で、米国で3300万人、欧州で2200万人、日本では810万人(40歳以上の人口の12.4%)の患者がいると推定されている。

 過活動膀胱は、潜在的な排尿筋過活動状態に起因していると考えられており、治療薬としては、膀胱収縮抑制作用を有するムスカリン受容体拮抗薬が広く使用されている。具体的には、プロピベリン塩酸塩(商品名バップフォーなど)、コハク酸ソリフェナシン(商品名ベシケア)、酒石酸トルテロジン(商品名デトルシトール)、イミダフェナシン(商品名ウリトス、ステーブラ)などである。

 しかし、これらの薬剤は、ムスカリン受容体が膀胱以外の唾液腺、腸管及び毛様体などにも存在することから、口腔内乾燥、便秘、霧視などの副作用が起こり得るほか、排尿困難、残尿量の増加、尿閉などの発現が懸念される。

 今回、発売されたミラベグロンは、既存薬とは異なり、膀胱のβ3アドレナリン受容体に選択的に作用し、膀胱弛緩作用を示す薬剤である。蓄尿機能は高めるが、抗コリン作用はなく、排尿機能にも悪影響を及ぼしにくいことが特徴とされる。ミラベグロンは日本で開発された薬剤であり、世界初となる選択的β3アドレナリン受容体作動性の過活動膀胱治療薬である。臨床試験では、優れた有効性と安全性が、長期投与でも確認されている。

 臨床試験では、副作用(臨床検査値異常を含む)が25.9%認められている。主な副作用は、γ-GTP上昇(3.7%)、便秘(2.9%)、CK上昇(2.6%)、Al-P上昇(2.5%)などであった。また動物実験で、生殖器系への影響(精嚢・前立腺・子宮の重量低下あるいは萎縮など)が認められていることから、警告欄に「生殖可能な年齢の患者には投与を出来る限り避ける」と注意喚起されている。