2011年7月1日、プロトンポンプ阻害薬PPI)のエソメプラゾールマグネシウム水和物(商品名ネキシウムカプセル10mg、同カプセル20mg)が製造承認を取得した。エソメプラゾールは、ラセミ体であるオメプラゾール(商品名オメプラール、オメプラゾンほか)の一方の光学異性体(S体)であり、胃酸分泌の最終過程で機能するプロトンポンプを選択的に阻害することで、強力な酸分泌抑制効果を発揮する。

 PPIは、胃潰瘍や十二指腸潰瘍に加え、ヘリコバクター・ピロリ除菌療法などにも使用されており、世界的にも酸分泌抑制薬における中心的な薬剤として広く使用されている。日本では、1991年にオメプラゾールが承認されて以降、ランソプラゾール(商品名タケプロンほか)、ラベプラゾール(商品名パリエット)が臨床使用されており、今回のエソメプラゾールは国内で4成分目のPPI製剤となる。

 オメプラゾールは、肝薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP)のうち、CYP2C19及びCYP3A4によって代謝されるが、このうちCYP2C19には遺伝子多型が存在し、その代謝能力には個人差が大きいことが知られている。これに対し、オメプラゾールの一方の光学異性体であるエソメプラゾールは、代謝におけるCYP2C19の寄与率が低く、薬物動態及び薬力学作用の個人差が少ないと考えられている。

 また、エメプラゾールは、総代謝固有クリアランスがオメプラゾールに比べて低いことから、血漿からの消失が遅く、AUCが高くなるため、オメプラゾール以上の臨床効果が期待できる。

 さらに同薬は、オメプラゾールが取得している適応症(逆流性食道炎など)以外に、「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制」にも適応を取得しているのが特徴である。

 海外でエソメプラゾールは、2000年3月にスウェーデンで承認されて以降、2011年5月現在、世界120カ国以上の国と地域で承認・発売されている。

 臨床試験で報告されている主な副作用としては、下痢(0.93%)、CK(CPK)上昇(0.93%)、肝機能異常(0.66%)、ALT上昇(0.53%)などがある。また重大な副作用としては、ショック、アナフィラキシー様症状、汎血球減少症、無顆粒球症、血小板減少、劇症肝炎、肝機能障害、黄疸、肝不全、中毒性表皮壊死融解症(TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、間質性腎炎、低ナトリウム血症、錯乱状態などについて、添付文書で注意が喚起されている。