2011年4月22日、抗悪性腫瘍薬のエリブリンメシル酸塩(商品名ハラヴェン静注1mg)が製造承認を取得した。適応は「手術不能又は再発乳癌」であり、用法・用量は「1日1回1.4mg/m2を2〜5分間かけて週1回、2週連続で投与し、3週目は休薬する。これを1サイクルとして投与を繰り返す」となっている。

 乳癌は、先進国で発生率が高いといわれている。日本でも罹患率、死亡率は年々増加傾向にあり、毎年約6万人の患者が罹患している。近年、新規の乳癌治療薬が続々と登場し、乳癌の化学療法は目覚ましく進歩しているが、一方で手術不能例や再発乳癌などの重症例では、使用できる抗癌剤が限られているのが現状であった。

 今回承認されたエリブリンは、細胞分裂に重要な役割を担っている微小管に作用する「微小管阻害薬」である。微小管は、蛋白質のα-チューブリンとβ-チューブリンが重合した二量体で構成される。エリブリンは、このチューブリンの重合を阻止して微小管の伸長を抑制する。これにより、細胞分裂を停止させてアポトーシスによる細胞死を誘導し、癌細胞の増殖を抑制する。

 現在、微小管阻害薬の中で乳癌の適応を有する薬剤としては、パクリタキル(商品名タキソール)、アルブミン結合したパクリタキセル(商品名アブラキサン)、ドセタキセル(商品名タキソテール)、ビノレルビン(商品名ナベルビン)などがある。

 エリブリンの国内第2相試験では、前治療歴(アントラサイクリン系及びタキサン系抗癌薬の投与を含む)を有する進行又は再発乳癌患者を対象に、エリブリンを単独投与したところ、主治医選択治療に比べて全生存期間を有意に延長したことが報告されている。

 海外においては、2010年11月に米国、2011年3月欧州委員会で、手術不能又は再発乳癌の治療薬として承認されている。

 使用に際しては、従来の癌化学療法施行時と同様に、禁忌事項の確認などを含め、使用患者の選択をしっかりと行うことが必要である。副作用は、承認までの国内2相試験で全例(100%)に認められている。主なものは、血液毒性〔好中球減少・白血球減少(各98.8%)、リンパ球減少(54.3%)、ヘモグロビン減少(32.1%)〕、脱毛症(58.0%)、疲労感(44.4%)、食欲減退(43.2%)、悪心(42.0%)、口内炎(38.3%)、味覚異常(33.3%)などであった。また、重大な副作用としては、骨髄抑制、感染症、末梢神経障害(末梢性ニューロパチー)、肝機能障害、間質性肺炎などが報告されている。