2011年2月23日、ブプレノルフィンの貼付剤(商品名ノルスパンテープ5mg、同テープ10mg、同テープ20mg)が製造承認を取得した。適応は「非オピオイド鎮痛薬で治療困難な変形性関節症、腰痛症に伴う慢性疼痛における鎮痛」であり、7日ごとに貼り替えて使用する。貼付部位は、前胸部、上背部、上腕部、側胸部のいずれかで、貼付する量は患者の状態により適宜増減することとなっている。

 国内で実施された慢性疼痛に関する大規模調査(2004年)によると、慢性疼痛保有者は全人口の13.4%、約1700万人と推定されており、部位としては「腰部」が58.6%、「膝」が20.3%であったと報告されている。これらの慢性疼痛に対する薬物治療としては、従来から非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が第一選択薬として用いられているが、長期投与により上部消化管障害などの副作用が出現したり、NSAIDs治療では痛みが十分に緩和できない症例があることも問題になっていた。

 ブプレノルフィンは、アヘンアルカロイドの一種であるテバインから半合成されたオピオイドであり、中枢神経系のμオピオイド受容体に作用して鎮痛効果を発揮する。同剤は、有効かつ安全性の高い製剤として国内外で約30年間使用されてきている。国内でも、注射製剤と坐剤が臨床使用されている。

 現在では、非癌性疼痛に関しても、WHO方式の癌性疼痛治療法の概念が応用されている。WHO方式では、NSAIDsなどの非オピオイド鎮痛薬でコントロールできない慢性疼痛には、オピオイド鎮痛薬を広く使用することが推奨されている。しかしわが国では、多くのオピオイド鎮痛薬の適応症は「癌性疼痛」に限定されており、癌性疼痛以外に適応のあるオピオイドも、多くは注射製剤であることから、持続的な慢性疼痛のコントロールには不向きであった。

 そうした理由から、今回承認されたブプレノルフィンの貼付製剤は、慢性疼痛治療において熱望されていた製剤である。この製剤は、7日間を通じて有効血中濃度を維持できる週1回貼付を可能としたマトリックス型経皮吸収製剤であり、2010年7月現在、海外ではイギリス、ドイツ、アメリカなど世界30カ国で承認され臨床使用されている。

 承認までの臨床試験結果から、92.5%に何らかの副作用(臨床検査値異常を含む)が認められている。主な副作用は、悪心(62.5%)、嘔吐(35.7%)、便秘(33.7%)、傾眠(30.3%)などであった。

 なお、今回の承認にあたっては、本剤がオピオイド鎮痛薬であることから、「承認された適応症治療に精通した医師によってのみ処方・使用されるべき」といった留意事項があり、使用する医師には適正使用講習(e-learning)の実施などが義務付けられている。