2011年4月22日、持続型赤血球造血刺激因子製剤エポエチン ベータ ペゴル(商品名ミルセラ注)が製造承認を取得した。適応は「腎性貧血」。用量は、患者の病態などによって異なるが、静脈内もしくは皮下に2〜4週間に1回投与する。最高投与量は1回250μgである。

 腎性貧血(腎障害によるエリスロポエチン産生能の低下に起因する貧血)に対する治療薬としては、従来、蛋白同化ホルモン薬が使用されてきたが、不可逆性の男性化などの副作用の問題が多いことから、近年はエリスロポエチン ベータ(商品名エポジン)などの赤血球造血刺激因子製剤(ESA)が第一選択薬として使用されている。

 ESAは、腎臓で産生される天然エリスロポエチン(165個のアミノ酸からなるペプチドホルモン)と類似の構造を持ったペプチド製剤である。骨髄中の赤芽球系前駆細胞に働き、赤血球への分化と増殖を促すことで、貧血を改善することが認められている。しかし既存のESAは、投与により貧血改善効果が得られた後も、週2〜3回の投与を継続する必要があった。

 今回、承認されたエポエチン ベータ ペゴルは、既存のエポエチン ベータに1分子の直鎖メトキシポリエチレングリコール(PEG)分子を化学的に結合させることで作用の長時間化を実現した製剤である。透析患者に単回静脈投与した場合のデータで比較すると、エポエチン ベータの半減期が9.4時間なのに対し、エポエチン ベータ ペゴルは168〜217時間と、10倍以上も長い。

 このように血中濃度を長時間維持することで、4週間に1回の投与(初回は2週間に1回)で、至適範囲内までヘモグロビン濃度を上昇させられることが確認されている。

 なお、エリスロポエチンのアミノ酸配列の一部を改変し新たな糖鎖を付加させることで血中半減期を延長した製剤としては、2007年に承認されたダルベポエチンアルファ(商品名:ネスプ)がある。ダルベポエチンアルファを透析患者に単回静脈投与した場合の血中半減期は32.11〜48.67時間であり、血液透析患者に対しては1〜2週間に1回投与する。

 エポエチン ベータ ペゴルは、2007年に欧州で承認されて以来、2011年4月現在、世界100カ国以上の国々で承認されている。

 国内での第3相臨床試験では、19.2%に何らかの副作用(臨床検査値異常を含む)が認められている。主な副作用は、血圧上昇(7.6%)、シャント閉塞・狭窄(1.4%)、好酸球数増加(1.2%)などであり、重大な副作用としては、脳出血、心筋梗塞、高血圧性脳症、ショック、アナフィラキシー様症状、赤芽球癆が認められている。