2011年4月22日、疼痛治療薬のトラマドール塩酸塩・アセトアミノフェン配合製剤(商品名トラムセット配合錠)が製造承認を取得した。適応は、「非オピオイド鎮痛薬で治療困難な非癌性慢性疼痛抜歯後疼痛」である。用法・用量は、非癌性慢性疼痛では1回1錠、1日4回(投与間隔として4時間以上)、抜歯後疼痛では1回2錠。いずれの場合も、1回2錠、1日8錠を超えないこととし、空腹時の投与を避けることとされている。

 トラムセットは、1錠中にオピオイド鎮痛薬のトラマドール塩酸塩37.5mgと、解熱鎮痛薬アセトアミノフェン325mgを配合している。トラマドール塩酸塩(単剤での商品名:トラマール)は、μオピオイド受容体に対する作用及びモノアミン再取り込み阻害作用によって鎮痛効果を示す薬剤であり、癌性疼痛の緩和のために内服薬と注射製剤が使用されてきた。

 一方、アセトアミノフェン(単剤での商品名:カロナール)は、1950年代後半より安全性が高い解熱鎮痛薬として、医療用医薬品としてはもとより、一般薬の総合感冒薬などにも含有されている。非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)とは異なり、末梢でのシクロオキシゲナーゼ阻害作用は弱く、主に中枢神経系で鎮痛作用を示す薬剤である。

 非癌性慢性疼痛の治療では、WHO(世界保健機関)の提唱する「3段階除痛ラダ―」に準じた治療が行われているが、アセトアミノフェンはその第一段階、トラマドールは第二段階に位置づけられる薬剤である。そして近年の臨床研究で、アセトアミノフェンやNSAIDsには、消化器障害、腎機能障害リスク、冠動脈疾患の潜在的リスクなどがあることから、特に長期的な疼痛管理においては、トラマドールとアセトアミノフェンを併用することを推奨する報告もあった。

 また、抜歯後疼痛においては、骨切除などを伴う侵襲性の高い手術で、高度の疼痛が発現する場合がある。この抜歯後の高度の疼痛は、アセトアミノフェンやNSAIDs単独では十分に除痛できない症例が多かった。

 今回承認されたトラムセットは、こうした背景から、非癌性疼痛の管理に使用できる新たな選択肢として注目を集めており、患者のQOL向上に貢献できる薬剤として期待されている。国内における長期投与試験では、鎮痛効果が52週まで持続し、長期にわたる疼痛コントロールの維持が可能であることが確認されている。海外では、2001年に米国で承認されて以降、2010年8月現在、カナダ、中国、韓国など世界70カ国以上の国と地域で承認されている。

 使用に際しては、国内臨床試験で81.1%に何らかの副作用(臨床検査値異常を含む)が認められていることに十分な注意が必要である。主な副作用は、悪心(41.1%)、嘔吐(26.2%)、傾眠(25.9%)、便秘(21.2%)、浮動性めまい(18.9%)などであり、重大な副作用としては、ショック、アナフィラキシー様症状、痙攣、依存性、中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、喘息発作の誘発、肝機能障害、黄疸、顆粒球減少症が報告されている。