2011年5月24日、緊急避妊薬レボノルゲストレル(商品名ノルレボ錠0.75mg)が発売された。用法・用量は「性交後72時間以内に1回1.5mg経口投与」となっている。現時点では薬価未収載であり、今後も保険適用はされない見込みである。

 緊急避妊とは、避妊具の装着不備や経口避妊薬の服用忘れなど、避妊措置に失敗した場合や、避妊措置を講じなかった場合に、望まない妊娠を回避するために緊急的に使用するものである。緊急避妊の目的では、1960年代から、高用量のエチニルエストラジオールの経口製剤が使用されてきたが、適応外使用である上、服用により悪心や嘔吐などの副作用が高頻度に発現することが問題となっていた。

 レボノルゲストレルは、黄体ホルモンの一つであるノルゲストレルの左旋性光学異性体である。排卵抑制作用により避妊効果を示すほか、受精阻害作用や受精卵着床阻害作用を有しているとされる。海外の臨床試験では、レボノルゲストレル1.5mgを性交後72時間以内に服用することで妊娠阻止率が84%であったと報告されている。

 なお、レボノルゲストレル単独の製剤としては、2007年発売されたレボノルゲストレル放出子宮内避妊システムのミレーナがある。本製剤は、子宮内避妊用具(IUD)から薬剤が徐々に放出され、5年間の避妊を可能としている。また、経口避妊薬(低用量ピル)の一部には、エチニルエストラジオールとともにレボノルゲストレルが配合されている製品がある。

 レボノルゲストレルの錠剤は、WHOによる緊急避妊のエッセンシャルドラッグとして指定されており、本薬剤による緊急避妊は国際的にも標準な方法として位置づけられている。海外では、1999年4月フランスで承認されて以降、2010年4月現在、欧州、アジア、アフリカなど世界約50カ国で販売されている。日本でも、日本産科婦人科学会などが推奨している。

 今回発売されたノルレボ錠は、水に難溶性のレボノルゲストレルの溶解性を高める工夫が施されており、これにより80%以上のバイオアベイラビリティが実現されている。国内臨床試験では72.3%に何らかの副作用が認められており、主な副作用は、消退出血(46.2%)、不正子宮出血(13.8%)、頭痛(12.3%)、悪心(9.2%)、倦怠感(7.7%)などであった。

 なお本薬は、あくまでも避妊措置に失敗した場合に緊急的に用いる薬剤であり、コンドームや経口避妊薬のように、計画的に妊娠を回避するためのものでないことに十分留意しておくようにしたい。