2011年4月22日、アルツハイマー型認知症治療薬リバスチグミン(商品名イクセロンリバスタッチ)が製造承認を取得した。本薬は、経皮吸収製剤(パッチ剤)であり、適応は「軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制」である。パッチ1枚当たりの成分含有量が異なる「4.5mg」「9mg」「13.5mg」「18mg」の4製剤があり、1日1回4.5mgから開始して、原則として4週ごとに4.5mgずつ増量し、1日1回18mgが維持量となる。背部、上腕部、胸部のいずれか(正常で健康な皮膚)に貼付し、24時間ごとに貼り替えて使用する。

 認知症とは、慢性あるいは進行性の脳疾患によって生じ、記憶、思考、見当識、理解、計算、学習、言語、判断など、高次の大脳機能が障害される症候群である。アルツハイマー型認知症(AD)と脳血管型認知症に大別されるが、全体の約6割がADであると推定されている。ADは、大脳皮質を中心とした脳の広範な領域で神経細胞が失われるとともに、多数の老人斑と神経原繊維変化が出現し、記銘力障害から見当識障害、精神障害などが認められる。

 ADの発症機序は、完全には解明されていないが、AD患者では脳内のアセチルコリンが減少していることが明らかになっている。この脳内アセチルコリンを補うことを目的に開発されたのが、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(AChE阻害薬)である。

 日本では、AChE阻害薬として、1999年からドネペジル(商品名アリセプト)が使用されているほか、2011年3月にはガランタミン臭化水素酸塩(商品名レミニール)も発売されている。また、別の機序を持つAD治療薬として、NMDA(N-methyl-D-aspartate)受容体に対する選択的な拮抗作用を有するメマンチン塩酸塩(商品名メマリー)も承認され、近々発売が予定されている。

 今回、承認されたリバスチグミンは、ドネペジル、ガランタミンと同様に、アセチルコリンエステラーゼを阻害する薬剤であるが、同時にブチリルコリンエステラーゼをも阻害する。プラセボを対象に、認知機能検査(ADAS-Jcog)を指標として行われた二重盲検比較試験では、リバスチグミン投与群において、24週後の認知機能の低下が統計学的に有意に抑制されていたことが確認されている。

 また、コリンエステラーゼに対する阻害作用を持つ薬剤としては、日本初の経皮吸収製剤である。認知症患者の薬物療法では、薬剤管理が家族や介護者にとっての負担になるが、本薬は貼付剤であることから、管理がしやすい。また、本薬は貼付剤であり、薬剤が徐々に吸収されるため、経口剤でときに問題となる消化器症状(主に悪心、嘔吐)が軽減できることが期待されている。

 海外では、2007年に米国と欧州連合(EU)で承認されて以降、軽度から中等度のAD治療薬として世界82カ国以上で承認されている(2011年1月末現在)。

 国内での臨床試験では、臨床検査値異常を含む副作用が83.9%に認められている。主な副作用は、適用部位における紅斑(43.1%)・そう痒感(40.2%)・浮腫(13.9%)、接触性皮膚炎(29.0%)などである。また重大な副作用として、狭心症や心筋梗塞などの全身性疾患も報告されていることから、使用前には最新の添付文書等でしっかりと確認する必要があろう。