2011年4月22日、膵消化酵素補充薬のパンクレリパーゼ(商品名リパクレオン顆粒300mg分包、同カプセル150mg)が製造承認を取得した。効能・効果は「膵外分泌機能不全における膵消化酵素の補充」であり、用法・用量は「1回600mgを1日3回、食直後に経口投与」となっている。

 膵外分泌機能不全PEI)とは、膵臓の外分泌機能の低下により、膵臓から十二指腸に本来分泌される膵酵素が欠乏し、脂肪、蛋白質、炭水化物の消化吸収障害が起こった病態のことである。PEIに伴い、脂肪便、下痢、脂肪性ビタミン欠乏症等の症状が生じ、最終的には栄養障害や体重減少が起こる。

 PEIは、非代償期の慢性膵炎、膵切除、膵嚢胞線維症などが原疾患となる。治療では、不足する膵酵素を補うためにパンクレアチンなどの消化酵素剤の大量投与が行われてきたが、今回承認されたパンクレリパーゼは、ブタの膵臓からパンクレアチンを高度に抽出・精製した高力価製剤であり、大量投与を必要としない。

 具体的には、パンクレアチンと比較して、単位重量あたりリパーゼで約8倍、プロテアーゼで約7倍、アミラーゼで約6倍の高い力価を有している。またリパクレオンは、胃内での失活を防ぐために腸溶性コーティングがなされ、粒径も十二指腸で効果を発揮しやすいように設計されていることから、服用により効率的に消化・吸収を促し、栄養状態を改善することが期待できる。

 実際、日本で実施された、非代償期の慢性膵炎または膵切除による膵外分泌機能不全患者におけるプラゼボ対照二重盲検比較試験では、脂肪摂取量と便中脂肪排泄量から算出される「脂肪吸収率」の投与前後の差が、プラセボに比べて有意に改善したと報告されている。さらに他の臨床試験では、膵嚢胞線維症の患者でも脂肪吸収率の改善も認められている。

 既に欧米では、PEIの治療に高力価パンクレアチン製剤による酵素補充療法を行うことが一般化しており、海外では既にドイツ、英国、米国など世界80カ国で発売されている。

 パンクレリパーゼは、非代償期の慢性膵炎など、PEIを呈した患者の治療ならびにQOL向上に大いに貢献できる薬剤として期待されている。本薬は、臨床試験などでも良好な忍容性が確認されているものの、便秘、下痢、発熱、腹部膨満、高血糖などの副作用が報告されているので注意したい。