2011年1月21日、アルツハイマー型認知症治療薬メマンチン塩酸塩(商品名メマリー)とガランタミン臭化水素酸塩(商品名レミニール)の2成分が製造承認を取得した。それぞれの効能・効果と用法・用量は次の通りである。

 認知症は、「慢性あるいは進行性の脳疾患によって生じ、記憶、思考、見当識、理解、計算、学習、言語、判断など高次大脳機能の障害からなる症候群」と定義されている。認知症は、アルツハイマー型、脳血管型などに分類できるが、わが国では現在、認知症の約6割をアルツハイマー型認知症(AD)が占めているとされる。

 ADでは、大脳皮質を中心とした脳の広範な領域で神経細胞が失われ、多数の老人斑と神経原線維変化が出現することで、記銘力障害から見当識障害、精神障害などが認められる進行性疾患である。その発症機序は、完全には解明されていない。

 これまでは唯一の治療薬として、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬であるドネペジル(商品名アリセプト)が使用されており、高い臨床効果が確認されている。ドネペジルは、ADで引き起こされる脳内アセチルコリンの減少を改善することで、効果を発揮する。

 今回、製造承認を取得したAD治療薬の2成分のうち、ガランタミンは、オオマツユキソウ(別名スズランスイセン)由来のアルカロイドであり、ドネペジルと同様にアセチルコリンエステラーゼを阻害することで抗認知症効果を発揮する。またガランタミンは、ニコチン性アセチルコリン受容体におけるアロステリック増強作用を有し、コリン機能を賦活化する特徴がある。

 海外では、2010年4月現在、欧州をはじめとする世界73の国と地域で承認されている。ただし国内の臨床試験では、薬剤投与により、悪心、嘔吐など消化器症状を中心に、何らかの副作用が58.2%が認められていることに十分注意する必要がある。

 一方のメマンチンは、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤ではなく、全く新しい作用機序を有する薬剤である。具体的には、興奮性の神経伝達に関与するグルタミン酸の受容体の一つであるN-methyl-D-aspartate(NMDA)受容体を選択的に拮抗することで、過剰なグルタミン酸による神経細胞毒性及び記憶・学習に深く関与する長期増強形成障害などを抑制する。さらには、認知機能障害の進行を抑制し、言語、注意、実行及び視空間能力の悪化の進行をも抑制する。

 海外においてメマンチンは、2010年9月現在、欧州や米国をはじめとする世界70カ国で承認されている。ただしメマンチンでは、何らかの副作用が36.6%に認められていることに十分な注意が必要である。