2010年12月17日、2型糖尿病治療薬のエキセナチド(商品名:バイエッタ皮下注5μgペン300、同皮下注10μgペン300)が発売された。適応は、「2型糖尿病で、食事療法・運動療法に加えてスルホニルウレア薬(ビグアナイド系薬またはチアゾリジン系薬との併用を含む)を使用しても十分な効果が得られない場合に限る」で、1日2回、朝夕食前に皮下注射する。

 近年、血糖値の変動には、インスリンやグルカゴン以外に、食事の摂取などにより消化管から産生されるホルモンである「インクレチン」も大きく関与していることが明らかになり、注目を集めている。インクレチンは、血糖値が高い場合にインスリン分泌を増強し、血糖値が正常あるいは低い場合にはインスリンを増強しないという血糖コントロール作用を有する。また、グルカゴンの分泌を低下させ、肝臓における糖新生を抑制する作用も有することが確認されている。

 昨年から、このインクレチンに関連した作用機序をもつ「インクレチン関連薬」が、糖尿病治療薬が続々と登場している。一つは、インクレチンの分解酵素(ジペプチジルペプチターゼ-4:DPP-4)の選択的阻害作用を有する経口DDP-4阻害薬のシタグリプチン(商品名:ジャヌビア、グラクティブ)、ビルダグリプチン(商品名:エクア)、アログリプチン(商品名:ネシーナ)であり、もう一つは代表的なインクレチンであるヒトGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)の受容体作動薬、リラグルチド(商品名:ビクトーザ)である。

 今回、発売されたエキセナチドは、リラグリチドと同じGLP-1受容体作動薬である。本薬は、グルコース依存性にインスリン分泌を促進する作用、高血糖時にグルカゴン分泌を抑制する作用、胃内容物排出遅延作用など、多様な作用機序で、2型糖尿病患者の血糖コントロールを改善する。またGLP-1受容体作動薬は、インスリン製剤とは違って細かな用量調節は不要であるため、投与が簡便である。海外では、2005年4月に米国で承認されて以降、2010年9月現在、世界80以上の国と地域で承認されている。

 承認時までの国内臨床試験(SU薬との併用)で、77.8%に何らかの副作用が認められている。主な副作用は、低血糖症(50.0%)、悪心(26.0%)、食欲減退(14.2%)、腹部不快感(11.1%)、便秘(10.8%)、嘔吐(9.0%)などで、重大な副作用としては、SU薬との併用による低血糖、腎不全、急性膵炎、アナフィナキシー反応、血管浮腫などが報告されている。