2010年12月10日、経皮吸収型持続性癌疼痛治療薬のワンデュロパッチ(一般名:フェンタニル)が薬価収載された。同薬は、既に10月27日に製造承認を取得しており、近く、0.84mg、1.7mg、3.4mg、5mg、6.7mgの5種類が発売される見込みである。適応は、「非オピオイド鎮痛薬及び弱オピオイド鎮痛薬で治療困難な中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における疼痛(ただし、他のオピオイド鎮痛薬から切り替えて使用する場合に限る)」である。

 選択的μオピオイド受容体作動性のオピオイド鎮痛薬であるフェンタニルは、分子量が小さく、脂溶性が高いために、皮膚からの吸収が良好である。この特徴を活かして、経皮吸収製剤の「デュロテップMTパッチ」が開発され、2008年の発売以降、広く臨床で使用されている。デュロテップMTパッチは、マトリックス構造を有した貼付剤で、3日間ごとに張り替える製剤である。また今年6月には、経皮薬物送達システム(TDDS)技術を使用した1日1回貼付型フェンタニル貼付剤の「フェントステープ」も発売され、臨床使用されている。

 今回、薬価収載されたワンデュロパッチも、フェントステープと同様に1日1回貼り替えるタイプのフェンタニル貼付剤である。1日1回型のフェンタニル貼付剤は、症状に応じて24時間ごとに用量調節が可能な点が最大の特徴である。また24時間ごとの方が貼り忘れも少なく、痛みと副作用の有無を確認しながら、時刻を決めて規則正しく投与するというオピオイド鎮痛薬の基本原則(by the clock)にも合致した治療ができると考えられている。

 ワンデュロパッチは、日本国内専用に開発された製剤で、3日間貼付タイプのデュロテップMTパッチと、貼付後に体内に吸収されると推定される単位時間当たりのフェンタニル量が同等となるように設計されている。ただし、デュロテップMTパッチで認められている「非癌性の中等度から高度の慢性疼痛における鎮痛」に対して、ワンデュロパッチは適応を有していない。

 使用に際しては、従来のフェンタニルの経皮吸収製剤と同様、フェンタニルが肝薬物代謝酵素チトクロームP450 3A4で代謝されることから、この酵素に影響を与える薬剤との相互作用に注意が必要である。

 副作用に関しては、承認までに81.8%に何らかの副作用(臨床検査値異常を含む)が認められている。主な副作用は、便秘・傾眠(各47.0%)、悪心(25.8%)、嘔吐(21.2%)などであった。重大な副作用としては、呼吸抑制、意識障害、依存性、ショック、アナフィラキシー様症状、痙攣などが認められている。

 なお、今年11月、デュロパッチMTパッチを他人に譲渡していた事例が明らかになったことをきっかけに、製薬会社から「医療麻薬の取り扱い注意の徹底」が呼びかけられている。交付時には、他者には譲渡しないよう、患者及びその家族等に十分に説明する必要がある。