2010年10月27日、抗精神病薬のパリペリドン(商品名:インヴェガ錠3mg、同錠6mg、同錠9mg)が製造承認を取得した。適応は「統合失調症」であり、1日1回、朝食後に経口投与する。常用量は1日1回6mgで、1日12mgを超えない範囲で適宜増減する。増量は、5日間以上の間隔をあけて、1日量3mgずつ行うこととされている。

 統合失調症は、長期にわたる維持療法が必要な慢性の精神疾患であり、維持治療期における精神症状の再発、再燃防止と患者のQOL向上が重要な治療目標となる。

 維持治療に使用する薬剤として、以前はクロルプロマジン(商品名:ウインタミン、コントミンほか)やハロペリドール(商品名:セレネースほか)など、いわゆる定型抗精神病薬が広く用いられてきたが、最近では、統合失調症の治療ガイドラインでも、非定型抗精神病薬が第一選択薬に位置づけられるようになっている。

 非定型抗精神病薬には、セロトニン・ドパミン遮断薬SDA)に分類されるリスペリドン(商品名:リスパダールほか)、ペロスピロン(商品名:ルーラン)、ブロナンセリン(商品名:ロナセン)や、多元受容体作用抗精神病薬(MARTA)に分類されるオランザピン(商品名:ジプレキサ)、クエチアピン(商品名:セロクエル)、クロザピン(商品名:クロザリル)、ドパミン部分作動薬のアリピプラゾール(商品名:エビリファイ)などがある。

 今回、承認されたパリペリドンは、セロトニン・ドパミン受容体拮抗薬の一つであるリスペリドンの主活性代謝物であり、セロトニン5-HT2A受容体及びドパミンD2受容体に対する拮抗作用を有する。統合失調症の陽性症状(幻覚、妄想など)を改善する効果のほか、陰性症状の一部(感情的引きこもり、情動鈍麻など)に対しても改善効果が認められている。

 特徴は、リスペリドン製剤は1日2回投与が必要であるのに対し、インヴェガ錠では、1日1回の投与でパロペリドンの血中濃度を24時間維持できることである。同剤には、浸透圧勾配を利用した放出制御機構である「OROS」が採用されている。OROSは、多層構造のコアを硬い半透過性膜でコーティングした構造で、外部と内部の浸透圧差により水を内部に取り込み、水を吸収して膨張した多層構造のコアが押し出すようにして薬物を徐々に放出する。

 海外では、2006年12月、米国で統合失調症の急性期治療に対する適応が承認されて以降、2010年1月までに、欧州を含む92の国と地域で承認されている。

 国内の臨床試験では、86.2%に何らかの副作用が認められている。主な副作用は、血中プロラクチン増加(34.3%)、統合失調症の悪化(21.8%)、体重増加(14.7%)、錐体外路障害(14.1%)、便秘(9.6%)などであった。また重大な副作用としては、悪性症候群、遅発性ジスキネジア、肝機能障害、黄疸、横紋筋融解症、不整脈、脳血管障害、高血糖、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡、低血糖、無顆粒球症、白血球減少、肺塞栓症、深部静脈血栓症が報告されている。