2010年10月27日、疼痛治療薬のプレガバリン(商品名:リリカカプセル25mg、同カプセル75mg、同150mg)の適応変更が承認され、これまでの「帯状疱疹後神経痛」から「末梢性神経障害性疼痛」に適応が変更となった。用法・用量に関しては、従来と変わらず、「成人に初期用量1日150mgを2回に分割投与、その後1週間以上かけて1日用量300mgまで漸増する。なお、1日最高用量は600mgを超えないこととし、2回分割」となっている。

 神経障害性疼痛は、国際疼痛学会では「体性感覚系に対する損傷や疾患の直接的結果として生じている疼痛」と定義されている。一般に、病態や発症機序で多彩なため、非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)などの鎮痛薬の効果がほとんど期待できない。

 この神経障害性疼痛は、末梢性と中枢性に大別される。末梢性神経障害性疼痛の代表的な疾患は、帯状疱疹後神経痛、有痛性糖尿病性神経障害、三叉神経痛などであり、中枢性神経障害性疼痛は脳卒中後疼痛などである。従来、こうした神経障害性疼痛の治療には、コデインリン酸塩、三環系抗うつ薬、交感神経ブロックなどが用いられてきたが、副作用等の問題から十分な除痛に至らない症例も多かった。

 2010年6月から臨床使用が可能になったプレガバリンは、構造的には、抗てんかん薬のガパペンチン(商品名:ガバペン)に類似している。プレガバリンは、主に神経系に分布するカルシウムイオンチャネルのα2δサブユニットに結合し、過剰に興奮した神経系において、各種神経伝達物質の放出を抑制することで鎮痛作用を発揮する。この作用機序は、これまでの疼痛治療薬にはなかった全く新しいものであるため、専門医からも注目され、当初は末梢性神経障害性疼痛の一つである「帯状疱疹後神経痛」のみを適応として、販売が開始された。

 今回の承認により、プレガバリンの適応は、「帯状疱疹後神経痛」を含んだ、より広い疾患概念である「末梢性神経障害性疼痛」に拡大されたことになる。つまり、帯状疱疹後神経痛だけでなく、有痛性糖尿病性神経障害、三叉神経痛などにも、使用できるようになったのである。

 既に世界的には、国際疼痛学会をはじめとする主要学会において、神経障害性疼痛の第一選択薬に推奨されており、海外では、2010年7月現在、既に世界110の国と地域で承認されている。なお欧米では、プレガバリンは、成人のてんかん患者における部分発作に補助的に用いられるほか、線維筋痛症や全般性不安障害の治療薬としても承認されている。日本でも現在、線維筋痛症に適応を追加するための開発が行われている。

 今回、適応が広がったプレガバリンは、効果発現が早く、長期投与により持続的な効果が認められていることから、末梢性神経障害性疼痛により日常生活のQOLが低下している患者にとって有用性が高く、専門医からの期待を集めている。ただし、投与に際しては、国内の糖尿病性末梢神経障害における臨床試験で、副作用(臨床検査値異常を含む)が65.9%に認められていることに十分な注意が必要である。主な副作用は、傾眠(24.5%)、浮動性めまい(22.5%)、浮腫(17.2%)などであり、重大な副作用としては、心不全、肺水腫、意識消失、横紋筋融解症、腎不全、血管浮腫などが報告されている。