2010年10月27日、ニューキノロン系抗菌薬レボフロキサシン水和物(商品名:クラビット点滴静注バッグ500mg/100mL、同点滴静注500mg/20mL)が製造承認を取得した。適応は、「肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、腸チフス、パラチフス、炭疽、ブルセラ症、ペスト、野兎病、Q熱」であり、用法・用量は「1日1回500mg、約60分間かけて点滴静注」となっている。

 レボフロキサシン(LVFX)は、ニューキノロン系抗菌薬の代表的な薬剤であり、細菌のDNAジャイレース及びトポイソメラーゼ犬忘醉僂掘■庁裡訴製を阻害することで抗菌作用を発揮する。嫌気性菌を含むグラム陽性菌群及びグラム陰性桿菌、マイコプラズマ属、クラミジア属など、幅広い抗菌スペクトルを持ち、呼吸器感染症、尿路感染症、皮膚感染症、腸管感染症など各種感染症に対して有効性が確認されている。

 レボフロキサシンをはじめとするニューキノロン系抗菌薬は、PK-PD理論によれば、薬剤と菌が接している時間を長くするよりも、菌と接する薬剤の濃度を高くした方が、殺菌作用を増強させられる、いわゆる「濃度依存性」の抗菌薬として知られている。こうした理論を背景に、2009年4月、レボフロキサシンの経口剤は、1日300mgの3分割投与から、1日1回500mg投与に変更されている。

 今回、承認された注射製剤も、このPK-PD理論を背景に、用法・用量は1日1回500mg投与となった。レボフロキサシンの製剤としては、細粒(10%)、錠剤(250mg、500mg)、点眼剤(0.5%)に続く4剤形目となる。また、ニューキノロン系抗菌薬の注射製剤としては、シプロフロキサシン(CPFX、商品名:シプロキサンほか)、パズフロキサシン(PZFX、商品名:パズクロス、パシル)に次いで、日本で3番目となる、特に肺炎球菌などが主要原因菌となる呼吸器感染症の治療に適した「レスピラトリーキノロン」である。

 欧米では、1996年に米国、1997年に欧州各国で、1日1回500mg投与の経口製剤とともに、注射製剤も承認されている。今回、わが国でもレボフロキサシンの注射製剤が承認されたことで、感染症、特に呼吸器感染症においては、治療の選択肢が広がることが期待されている。

 ただし、使用に際しては、国内臨床試験で48.0%に何らかの副作用(臨床検査値異常を含む)が認められていることに十分注意する必要がある。主な副作用は、注射部位反応(20.2%)、ALT上昇(10.2%)、AST上昇(8.5%)であり、重大な副作用としては、ショック、アナフィラキシー様症状などが認められている。

 また、今回承認された製剤のうち、バッグ製剤は使用時に希釈することなく投与可能なプレミックス製剤であるが、バイアル製剤は濃縮製剤であり、使用に際しては生理食塩液、5%ブドウ糖注射液などで希釈することが推奨されている。