2010年9月17日、変形性膝関節症の疼痛緩和薬であるサイビスクディスポ関節注2mLが薬価収載された。これに先立つ7月23日に同剤は製造承認を取得しており、年内の発売が予定されている。適応は「保存的非薬物治療及び経口薬物治療が十分奏功しない疼痛を有する変形性膝関節症の患者の疼痛緩和」であり、成人では、膝関節腔内に1回2mL、1週間ごとに連続3回投与する。

 代表的な有痛性関節疾患である変形性膝関節症は、人口の高齢化とともに患者数が増加を続けており、現在では約3000万人に上るとも推定されている。治療では、関節鏡などを使用した手術療法が行われるが、保存的治療が選択される場合も多く、非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)の経口投与、局所麻酔薬やステロイドの局所投与などの対症療法が行われている。さらに10年ほど前から、関節内補充療法として、関節内にヒアルロン酸ナトリウム(商品名:アルツ、スベニールほか)を注入して、痛みを緩和する方法も広く行われている。

 今回、薬価収載されたサイビスクディスポも、関節内注入用の製剤である。主要成分は、鶏冠由来のヒアルロン酸を架橋処理したポリマーであり、2mL中に、ヒアルロン酸ナトリウム架橋処理ポリマー及びヒアルロン酸ナトリウム架橋処理ポリマービニルスルホン架橋体をヒアルロン酸ナトリウム換算で16mg含有する。

 この成分は、健常人の関節液中に含まれるヒアルロン酸と同程度の分子量であり、関節内に注入することで関節液の機能を一時的に高め、衝撃吸収機能などを改善し、疼痛を緩和する。この効果は、週1回、連続3回関節内投与することで6カ月間持続することが確認されており、従来のヒアルロン酸製剤よりも少ない投与回数で効果が長期間持続することが最大の特徴である。海外では、既に世界70カ国以上で販売承認されており、400万人以上に使用されている。

 サイビスクディスポの登場は、投与に当たる医療従事者の負担を軽減するだけでなく、頻回の関節注射というストレスから患者を解放することになるため、変形性膝関節症の疼痛緩和治療を大きく変えるのではないかと期待されている。

 ただし薬剤の使用に際しては、海外における変形性膝関節症患者を対象とした7試験(症例数511例、559膝、1771回の投与)において、9.0%に副作用が認められていることに注意する必要がある。具体的に、投与部位に認められた副作用は疼痛(5.5%)、腫脹(4.7%)、こわばり・しびれ感・灼熱感・不快感(各0.2%)であった。また投与部位に関連しない副作用も2.0%に認められており、発疹・そう痒感・腓腹筋痙攣・痔核・足首の浮腫・筋痛・扁桃炎・頻脈性不整脈・静脈炎・腰部の捻挫(各0.2%)が報告されている。