2010年10月12日、厚生労働省は、2型糖尿病治療薬のリラグルチド(商品名:ビクトーザ皮下注18mg)について、添付文書の改訂を指示するとともに、製造販売元であるノボ ノルディスクファーマに対して、医療従事者に対する安全性情報ブルーレター)の配布を指示した。

 リラグリチドは、2010年6月11日に発売され、現在までに約9000人に使用されている。1日1回、朝または夕方に使用する皮下注射製剤で、食事・運動療法またはSU剤投与で十分な効果が得られなかった「2型糖尿病」患者が適応となっている。

 リラグリチドは、インクレチン関連薬の一つである。インクレチンは、食事の摂取などにより消化管から産生・放出されるホルモンで、インスリン分泌を促進することで血糖降下作用を示す。このインクレチンの血糖降下作用は、血糖値が正常あるいは低い場合には発揮されないため、インクレチン関連薬は、インスリン製剤やSU剤などに比べて低血糖が起こりにくいと考えられている。

 これまでに開発されているインクレチン関連薬は、(1)インクレチンの分解酵素を選択的に阻害する「インクレチン・エンハンサー」と、(2)インクレチンの受容体を刺激する作用を持つ「インクレチン・ミメティクス」──の二つに大別できる。リラグルチドは後者に分類され、GLP-1受容体作動剤とも呼ばれている(GLP-1はインクレチンの一種)。

 今回、リラグリチドでブルーレターが配布されたのは、発売から約4カ月間(2010年6月11日〜2010年10月7日)に、糖尿病性ケトアシドーシス4例(うち死亡2例)、高血糖16例が報告されたことがきっかけである。

 この20例のうち17例は、インスリン治療を中止してリラグリチドに切り替えたことで高血糖状態に至っていたことから、ブルーレターの注意事項の冒頭には「本剤はインスリンの代替薬ではない」と強調されるとともに、「1型糖尿病患者やインスリンが不可欠な2型糖尿病患者には、インスリン製剤からの切り替えでリラグルチドを使用しないこと」などの注意喚起が行われている。

 また添付文書の「重要な基本的注意」には、次の文言が追加された。

本剤はインスリンの代替薬ではない。本剤の投与に際しては、患者のインスリン依存状態を確認し、投与の可否を判断すること。インスリン依存状態の患者で、インスリンから本剤に切り替え、急激な高血糖及び糖尿病性ケトアシドーシスが発現した症例が報告されている。

 さらに、今回の添付文書改訂に伴い、使用上の注意の「慎重投与」の項目に、低血糖を起こすおそれのある患者や状態として、(1)脳下垂体機能不全又は副腎機能不全、(2)栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量の不足又は衰弱状態、(3)激しい筋肉運動、(4)過度のアルコール摂取者──が追加されている。

■関連サイト(ノボ ノルディスクファーマ)
ビクトーザの安全性に関する情報