2010年7月23日、ニューキノロン系抗菌薬のパズフロキサシン(商品名:パシルパズクロス)に新たな適応が追加された。適応菌種として「肺炎球菌」、適応症として「敗血症」が追加され、敗血症、肺炎球菌による肺炎、重症・難治性の呼吸器感染症(肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染に限る)については、1日2000mgの投与が可能になった。

 これと同時に、パズフロキサシンの高用量製剤が製造承認を取得した。これまで販売されていたのは、パシル点滴静注液300mg、同点滴静注液500mg、パズクロス注300、同注500であったが、これにパシル点滴静注液1000mg、パズクロス点滴静注液1000mgが加わることになる。

 ニューキノロン系抗菌薬は、レボフロキサシン(商品名:クラビット)などの経口製剤とともに、シプロフロキサシン(商品名:シプロキサン)やパズフロキサシンの注射製剤が広く臨床使用されている。パズフロキサシンは、グラム陽性菌から、グラム陰性菌、嫌気性菌まで幅広い抗菌活性を有しており、呼吸器科領域感染症や泌尿器科領域感染症をはじめ、各科領域の感染症で使用されている。

 一般にニューキノロン系抗菌薬は、PK-PD理論により、AUC/MICあるいはCmax/MICに相関する「濃度依存性薬剤」に分類され、投与量を増やしてAUC/MICもしくはCmax/MICを上げることで、治療効果の向上が期待できる。ちなみに昨年には、同じニューキノロン系抗菌薬であるレボフロキサシン(商品名:クラビッド錠)が1日300mg、3分割投与から、1日1回500mg投与へと用量変更されている。

 今回、パズフロキサシンに適応が追加され、高用量製剤が承認された背景には、日本化学療法学会から厚生労働省に「医療現場で特に必要とされているのは重症・難治性感染症に対する薬剤であり、安全性を確保した上で、さらに高い有効性を得るべく、パズフロキサシンを増量して使用できるようにしたい」との要望書が提出されたことがある。これを踏まえてメーカーが開発治験を行ない、今回の承認に至った。海外では、既に大韓民国で承認されている。

 1日投与量2000mgでの臨床試験では、49.7%の副作用が認められている。主な副作用は、疼痛、紅斑、腫脹、硬結、静脈炎等の注射部位反応(34.13%)、下痢(4.79%)などであり、臨床検査値異常としては、AST増加(14.37%)、ALT増加(13.17%)、γ-GTP増加(4.27%)などが認められている。重大な副作用は、従来のものに加え、錯乱・幻覚等の精神症状が追加となっている。