2010年7月23日、関節リウマチ治療薬のアバタセプト(商品名:オレンシア点滴静注用250mg)が製造承認を取得した。適応は、「関節リウマチ(既存治療で効果不十分な場合に限る)」で、1回当たり500mgから1g(患者の体重によって異なる)を、初回投与後は2週目と4週目、以後は4週間ごとに点滴静注することとなっている。

 関節リウマチは、免疫機能異常状態を基礎とする慢性炎症性疾患である。主症状は、多発する関節炎と急速に進行する関節破壊等の関節症状であるが、肺、腎臓、心臓、眼、皮下組織等の関節外にも炎症性障害が分布する全身性疾患である。日本では、60〜70万人が関節リウマチに罹患していると推定されており、特に40〜50歳の女性の罹患率が高い。

 関節リウマチの治療目標は、関節炎による疼痛の軽減、関節破壊の防止、関節機能の維持によって、患者の身体的、精神的、社会的な生活の質の向上を図ることとされている。そして、治療の中心となるのは薬物療法であり、免疫抑制薬を含む抗リウマチ薬、非ステロイド抗炎症薬、ステロイド薬などが使用される。また近年では、抗リウマチ薬の中でも、インフリキシマブ(商品名:レミケード)などの腫瘍壊死因子(TNF)α阻害薬や、インターロイキン-6(IL-6)受容体抗体であるトシリズマブ(商品名:アクテムラ)など、生物学的製剤の有用性が認められている。

 今回、承認されたアバタセプトは、既存薬とは異なる新しい作用機序を有する生物学的製剤である。抗原提示細胞とT細胞間の共刺激シグナルを阻害し、関節リウマチの発症に関与するT細胞の活性化を抑制することから、「T細胞選択的共刺激調節薬」と呼ばれている。従来の生物学的製剤よりも上流で作用するのが特徴で、その作用機序から、従来薬では十分に効果が得られなかった症例にも有効なのではないかと期待されている。海外では、2005年12月米国で承認されて以降、2010年7月現在、世界50カ国以上で承認されている。

 国内の臨床試験では、83.4%の何らかの副作用(臨床検査値異常を含む)が認められている。主な副作用は、上気道感染(34.1%)、上気道の炎症(10.8%)、口内炎(9.0%)、発疹(6.7%)、高血圧(5.8%)などであり、臨床検査値異常は、リンパ球減少(12.6%)、血圧上昇・白血球増加(各11.7%)、ALT増加(9.0%)、血圧低下(6.3%)、尿中白血球陽性(5.8%)などであった。重大な副作用としては、重篤な感染症や過敏症、間質性肺炎などの報告がある。