2010年7月23日、肺動脈性肺高血圧症治療薬のアンブリセンタン(商品名:ヴォリブリス錠2.5mg)が製造承認を取得した。適応は「肺動脈性肺高血圧症」で、用法・用量は「1日1回5mg、1日10mgを超えないこと」となっている。

 肺高血圧(pulmonary hypertension:PH)は、肺動脈圧の上昇を認める病態の総称であり、(1)肺動脈性肺高血圧症、(2)左心性疾患に伴う肺高血圧症、(3)肺疾患や低酸素血症に伴う肺高血圧症、(4)慢性血栓症や塞栓性疾患に伴う肺高血圧症、(5)その他――の五つに大別される。

 このうち、(1)の肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension:PAH)は、生命予後が極めて悪いことが知られており、日本の患者数は約6000人と推定されている。PAHの発症機序は完全には解明されていないものの、エンドセリン、プロスタサイクリン(PGI2)、ホスホジエステラーゼ5(PDE5)が強く関連していることが判明している。

 そこで、PAHの薬物治療では、プロスタグランジン誘導体製剤のベラプロストナトリウム(商品名:ベラサスLA、ケアロードLA)、PDE5阻害薬のシルデナフィル(商品名:レバチオ)やタダラフィル(商品名:アドシルカ)、エンドセリン受容体拮抗薬のボセンタン(商品名:トラクリア)などが使用されている。

 今回、承認されたアンブリセンタンは、ボセンタンに次ぐ2番目のエンドセリン受容体(ET)拮抗薬である。エンドセリン受容体には、エンドセリンA(ETA)受容体とエンドセリンB(ETB)受容体の2つのサブタイプが存在するが、ボセンタンが2つのサブタイプを非選択的に阻害するのに対し、アンブリセンタンは、PAHの病態により深く関与すると考えられているETA受容体を選択的に阻害する。

 またアンブリセンタンは、ボセンタンに比べて、薬剤性の肝機能障害や併用薬との相互作用が起こりにくいこと、1日1回投与(ボセンタンは1日2回)が可能であることなどが特徴である。海外では、2007年6月に米国で承認されて以降、2010年3月までに、世界40カ国で承認されている。

 本薬の使用に際しては、国内の臨床試験で80.0%に何らかの副作用(臨床検査値異常を含む)が認められているので注意が必要である。主な副作用は、頭痛(36.0%)、潮紅(28.0%)、鼻閉(20.0%)であり、重大な副作用としては、貧血、体液貯留、心不全が認められている。