2010年7月23日、抗悪性腫瘍薬のパクリタキセル注射剤(アルブミン懸濁型)(商品名:アブラキサン点滴静注用100mg)が製造承認を取得した。承認された適応は「乳癌」で、用法・用量は「1日1回260mg/m2を30分かけて点滴静注し、少なくとも20日休薬(1コース)して繰り返す」となっている。

 パクリタキセルは、植物由来で、タキサン系薬剤に分類される抗癌剤であり、細胞の正常機能の維持に重要な役割を果たしている微小管の蛋白重合を促進し、細胞分裂を阻害することで抗腫瘍効果を発揮する。

 パクリタキセル注射剤は、既に1997年から「タキソール注射液」として発売されている。同薬は、乳癌の標準的治療薬として推奨されているほか、非小細胞肺癌等においても幅広く使用されている。またタキサン系薬剤としては、化学合成されたドセタキセル(商品名:タキソテール)も臨床使用されている。

 しかしパクリタキセルは水に極めて難溶であるため、既存製剤では溶媒としてポリオキシエチレンヒマシ油及び無水エタノールが使用されている。これらの溶媒に関連する過敏症の問題から、既存製剤では過敏症対策として、前処置(ステロイド投与)をすることが不可欠となっていた。

 今回、承認されたアブラキサンは、アルブミンに従来のパクリタキセルを結合させたナノ粒子製剤であり、生理食塩液での懸濁が可能となっている。これにより、溶媒による安全性の問題が改善されており、従来の製剤に対する非劣性及び優越性も確認されている。海外では、2005年米国で承認されてから、2010年6月現在、世界39カ国で承認されている。

 アブラキサンの承認により、過敏症予防を目的としたステロイド前投与が不要になったことで、薬剤投与時間が30分と短縮され、患者負担の軽減が期待できる。

 ただし本薬を投与すると、全例に何らかの副作用が発現するので十分な注意が必要である。主な副作用は、白血球減少・好中球減少・末梢神経障害・脱毛(各83.3%)、筋肉痛(75%)、リンパ球減少(66.7%)、関節痛(58.3%)、単球減少・発疹(各50.0%)などであり、重大な副作用としては、従来製剤と同様に、白血球減少などの骨髄抑制、しびれなど末梢神経障害、麻痺などが認められている。