2010年6月25日、抗造血器悪性腫瘍薬のレナリドミド水和物(商品名:レブラミドカプセル5mg)が製造承認を取得した。適応は「再発又は難治性の多発性骨髄腫」で、用法・用量は「デキサメタゾンとの併用において、成人の1日1回25mgを21日間連日経口投与した後、7日間休薬する。これを1サイクルとして投与を繰り返す」となっている。

 多発性骨髄腫は、骨髄中の白血球の一つである形質細胞が癌化することで引き起こされる血液癌である。血液癌の中では2番目に多く、日本では約1万1000人の患者がおり、毎年約4000人が新たに診断される。

 通常、形質細胞では外来侵入物に対する抗体(免疫グロブリン)が産生されるが、多発性骨髄腫では、癌化した形質細胞がパラプロテイン(またはM蛋白)と呼ばれる、抗体としては作用しない免疫グロブリンを産生し、免疫能の低下などを来す。原因は不明だが、遺伝的素因が疑われている。

 標準的治療としては、メルファラン(商品名:アルケラン)/プレドニゾロン療法(MP療法)や、3種類以上の抗癌剤併用する多剤併用療法などがある。また近年、サリドマイド(商品名:サレド)やボルテゾミブ(商品名:ベルケイド)など、新しい治療薬も使用されている。しかし、これらの薬剤でも、副作用によって治療が継続できなかったり、再発および難治化する症例も少なくなく、より有効性や安全性に優れた薬剤が待望されていた。

 今回、承認されたレナリドミドは、IMiDs(Immunomodulatory Drugs)と称される一連の新規免疫調節薬の一つである。サイトカイン産生調節作用、造血器腫瘍細胞に対する増殖抑制作用、血管新生阻害作用を有すると考えられている。また、多発性骨髄腫に有効性が高いとされるサリドマイドよりも、末梢神経障害、消化器症状、精神神経症状、深部静脈血栓症などの副作用が少ないことも特徴である。

 海外においてレナリドミドは、デキサメタゾンと併用して使う多発性骨髄腫治療薬として世界53カ国で承認されている(2010年1月8日現在)。今後、日本でもレナリドミドの使用が可能になることで、多発性骨髄腫治療の選択肢がさらに広がるものと期待されている。

 承認時までの臨床試験では、全例に何らかの副作用が認められている。主な副作用は、好中球減少症・血小板減少症(各80.0%)、白血球減少症(73.3%)、リンパ球減少症(53.3%)、貧血(40.0%)、便秘・倦怠感・発熱(各33.3%)などである。また、レナリミドは動物実験で催奇形性が認められていることから、厚生労働省は、胎児が本薬に曝露されることがないよう、製造会社に対して厳格な安全管理体制の構築を指示している。

 なお、レナリドミドとともに、同剤に併用する高用量のデキサメタゾン製剤(商品名:レナデックス錠4mg)も同時に承認されている。