2010年6月24日、持続性癌疼痛治療薬のフェントステープ(一般名:フェンタニルクエン酸塩)が発売された。本薬は、4月16日に製造承認を取得し、6月11日に薬価収載されている。適応は「非オピオイド鎮痛薬及び弱オピオイド鎮痛薬で治療困難な中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における疼痛(ただし、他のオピオイド鎮痛薬から切り替えて使用する場合に限る)」であり、胸部、腹部、上腕部、大腿部などに貼付し、1日(24時間)ごとに貼り替えて使用する。1枚当たりの成分含有量が異なる1mg、2mg、4mg、6mg、8mgの5種類が用意されている。

 フェンタニルは、選択的μオピオイド受容体作動性のオピオイド鎮痛薬である。同剤は、分子量が小さくて脂溶性も高く、皮膚からの吸収が良好であることから、既に経皮吸収製剤の「デュロテップMTパッチ」が発売され、広く臨床で使用されている。デュロテップMTパッチは、マトリックス構造を有した貼付剤で、3日間ごとに張り替える製剤である。

 今回発売されたフェントステープも、デュロテップMTパッチと同じフェンタニルの貼付剤であるが、1日(24時間)ごとに張り替える製剤である点で異なっている。癌の疼痛緩和療法では、24時間ごとに痛みの評価と副作用の確認をしながら、オピオイド鎮痛薬の用量調節を行っていくことが基本となる。このため、痛みの程度や副作用症状が比較的短時間に変化する患者などにおいては、24時間ごとに投与量を微調整できるフェントステープの方が使いやすい場合があると考えられている。なお本薬は、今のところ日本以外では承認されていない。

 フェントステープの発売により、フェンタニル製剤およびオピオイド鎮痛薬のバリエーションが増え、よりきめの細かい癌性疼痛緩和療法が実践できるようになるものと期待される。

 フェントステープの使用に際しては、フェンタニルが肝代謝酵素チトクロームP450(CYP)3A4で代謝されることから、従来のフェンタニル製剤と同様、この酵素に影響を与える薬剤との相互作用に注意が必要である。

 副作用は、臨床試験で全体の57.1%で認められている。主な副作用は、傾眠(12.6%)、悪心(11.6%)、嘔吐(10.4%)、便秘(9.9%)であり、重大な副作用としては、呼吸抑制、意識障害、依存性、ショック、アナフィラキシー様症状、痙攣などが認められている。